北海道和牛振興協議会 会長
佐藤 弘一
この記事は2021年8月1日に掲載された情報となります。
和牛を繁殖から育成、肥育まで一貫生産しています。
現在は繁殖牛33頭、育成牛23頭、肥育牛15頭ほどがいます。
牛の管理は、一年365日続く仕事。
特に、繁殖から子牛を育てていく過程は、大変難しいものです。
母牛の能力が肥育牛の品質に大きく影響するため、子牛の段階からどの牛を母牛にするか選定する目利きはとても重要。
近年はゲノム検査で適性を見ますが、牛の体格まではゲノムには反映されないため、人の目でも判断します。
ここにしっかり関わることで優れた母牛が育ち、品質の高い肥育牛が出荷できるのです。
それが、苦労はあっても一貫生産に取り組む最大の理由です。
牛の体型審査において母牛の点数の全国平均は81点ですが、北海道は80点台と、なかなか差を縮められずにいます。
北海道で優れた牛を生産するには、基本技術を徹底して母牛の成績を上げることが不可欠。
そこで、私が会長を務める北海道和牛振興協議会では、母牛の繁殖力を高めるため、獣医など専門家の協力も得て勉強会や視察に取り組んでいます。
勉強すれば牛は応えてくれますから、地域ごと、そして全道の生産者が協力して、北海道産和牛のレベルアップを進めていきたいですね。
和牛の生産を始めて30年以上になりますが、10年ほど前から北海道の和牛が注目されるようになり、ようやく光が当たってきたと思います。
実は、それまでは自分が育てた牛を屠畜(とちく)して食べることに抵抗がありました。
しかし、皆が「おいしい」と言って食べてくれるようになり、「大切に育て上げた牛を、感謝して食べよう」と思えるようになりました。
これからも、購買者に信頼され、消費者が喜んで食べてくれる牛づくりに取り組んでいきたいと思います。
Profile
1952(昭和27)年、今金町生まれ。1972(昭和47)年に4代目として就農し、米生産を行う。1986(昭和61)年に減反に伴う和牛振興計画に応じて、和牛の飼養を開始。今金町和牛生産改良組合の組合長を務め、2008(平成20)年から北海道和牛振興協議会道南ブロックの会長、2013(平成25)年から同協議会の会長に。全道の和牛生産に関する研究や振興策に尽力している。自身も全国和牛能力共進会で2回連続優等賞を受賞するなど、高品質の和牛を生産している。