2025年 営農のポイント 畜産

キーワード:2025年営農のポイントゲノム営農のポイント牛舎牧草粗飼料透排水性改善
この記事は2025年4月1日に掲載された情報となります。

北海道農政部長井淳一さん

北海道農政部 生産振興局技術普及課
総括普及指導員(農業革新支援専門員)
長井 淳一さん

 

ポイント
【新品種】北海道に適した良質な粗飼料づくりに「北海35号」
【新技術】次亜塩素酸の煙霧消毒による牛舎消毒
❸ 北海道ゲノム育種価評価システムを利用した和牛改良
❹ 牧草・飼料作物の圃場では機械による透排水性改善を

 

ポイント❶【新品種】
北海道に適した良質な粗飼料づくりに「北海35号」

 

図1牛乳の生産費(北海道搾乳牛1頭あたり)
図1.牛乳の生産費(北海道 搾乳牛1頭あたり)
農林水産統計 農業経営統計調査(令和元年、令和5年) 牛乳生産費より ※配合飼料価格安定制度の積立金及び補てん金、副産物販売額は計上していない

 

飼料や燃油など生産資材価格が高止まりする厳しい状況の中、酪農経営において、最もコストが高いのは流通飼料費です(図1)。

北海道の畜産では粗飼料資源を活用し、生産コストを下げる取り組みが重要となっています。

現在北海道で栽培されている牧草の8割を占めるチモシーは、高温や少雨に弱く、気候変動による収量・品質の低下が懸念されています。

 

写真1オーチャードグラス新品種「北海35号」
写真1.オーチャードグラス新品種「北海35号」

 

近年、越冬性や収量性、WSC(水溶性炭水化物)含量が改良されたオーチャードグラスの新品種が相次いで開発されており、現場での普及が望まれています。中でも2025年に北海道優良品種として認定された「北海35号」(写真1)は、耐病性や消化・発酵性にも優れ、品質と収量も期待できる品種です。

これから草地更新をする際はぜひ導入を検討してください。

ポイント❷【新技術】
次亜塩素酸の煙霧消毒による牛舎消毒

哺育・育成牛の預託組織は、酪農家の労働力軽減と高能力後継牛確保のため、重要な存在となっています。

預託組織の問題の㆒つとして、冬季間の水を使った牛舎消毒が困難なことが挙げられます。

「冬季の哺育牛舎における安全性の高い除菌剤による煙霧消毒の効果(令和7年北海道指導参考事項)」では、次亜塩素酸水および亜塩素酸水など、人畜に安全であり、かつ消毒効果としても低温環境下においてグルタアルデヒドと同等の効果があることが明らかになりました。

グルタアルデヒドと比べ扱いやすい資材になりますので、煙霧消毒器を導入する場合の参考としてください。

 

写真2煙霧消毒器
写真2.煙霧消毒器

 

ポイント❸
北海道ゲノム育種価評価システムを利用した和牛改良

道総研畜産試験場が構築した本システムは、枝肉6形質(枝肉重量、ロース芯面積、バラの厚さ、皮下脂肪厚、歩留基準値、脂肪交雑)に加え、新細かさ指数およびオレイン酸が評価できます。

従来の育種評価は、判明するまで雌牛が生まれてから4年以上かかりましたが、このシステムを利用することにより生後数カ月で正確に把握できるようになりました(図2)。

 

図2北海道ゲノム育種価評価システムを利用した和牛改良
図2.北海道ゲノム育種価評価システムを利用した和牛改良。

 

繁殖牛として自家保留する牛を選定する際に、血統や体型と合わせてゲノム育種価を活用することで、より効率的な後継牛選抜が可能となります。

2022年度から実用化されており、10年以上かけて蓄積されたデータを使っていますので、北海道の牛に合った精度の高い評価が期待できます。

ポイント❹
牧草・飼料作物の圃場では機械による透排水性改善を

2024年は、短時間での激しい降雨や長雨などの影響により、特に道北方面で圃場に入ることができず牧草収穫作業の遅れや、飼料作物の生育不良が問題となりました。

カットドレーン®(写真3)、カットブレーカー®などを使用した圃場の排水対策を進める必要があります。水はけの悪い圃場から、このような対策を行っていきましょう。

 

写真3カットドレーン
写真3.カットドレーン®

 

㆒方、飼料用とうもろこし畑では、今まで大きな問題となっていなかった雑草が繁茂し、収穫作業の妨げとなっています。

特にガガイモについては、作物に巻き付き、ひどい場所では、とうもろこしを倒してしまい、収穫を諦めざるを得ないといった被害が発生しています(写真4)。

 

写真4飼料用とうもろこしに巻き付いたガガイモ
写真4.飼料用とうもろこしに巻き付いたガガイモ。

 

ガガイモについては現在、道総研畜産試験場で生態の解明と対処方法の開発に取り組んでいますので、研究成果をお待ちください。