コネクテッドファーム通信(2025年2月)
取り組みNOW ~生産性向上

5年目を迎えたアスパラガスの高畝栽培(ビニールハウス)

キーワード:アスパラガスコネクテッドファームビニールハウス生産性向上高畝栽培
この記事は2025年2月3日に掲載された情報となります。

訓子府実証農場 農産技術課

農産技術課では新たな栽培法の提案を目的に、2020年度よりハウス立茎アスパラの簡易枠板式(わくいたしき)高畝栽培に取り組んでおり、今年度で5年目を迎えました。定植2年目の製品収量は10a当たり955kgで、3年目から本格的な収穫が始まりました。

3年目(2022年)以降の、年ごとの10a当たり製品収量と製品率については、それぞれ1,711kg(94.5%)、2,310kg(91.5%)、2,415kg(93.4%)となっており(図1)、現在、収量のピークを迎えつつあります。
省力化に向けた高畦栽培方法の検討(立茎本数など)も行っていますが、北海道野菜地図で示されている基準収量(1,600~2,000kg/10a)を超える結果となっています。これは、畝を高くすることで地温や作土層、根域の確保につながるためと考えられています。

一方、訓子府実証農場のあるオホーツク地域は、冬期の土壌凍結が気になるところですが、当農場では収穫したてん菜の被覆に用いるシートを、高畝に被覆することによって、萌芽までの地温を0.7℃以上に確保し、凍結を防いでいます(図2)。
また、高畝栽培は収穫時にしゃがみこむ必要がないため、作業時の負担軽減にもなり、収量、作業性の両面で効果のある栽培法となっています。

簡易枠板式高畝栽培の様子

 

図1.高畝栽培アスパラガスの収穫時期別・年次別収量

 

図2.冬期間の地温と加温(ビニール3重被覆)による地温上昇

※地温はアスパラ地際部より深さ38㎝の土中を計測

※ハウス内最低気温はアスパラ地際部から10㎝の高さのハウス内室温を計測