トラクターの点検や整備を日頃から行い、状態を把握しておくことで、急な故障や大きな修理につながることが少なくなります。初歩的で取り組みやすい点検・整備についてご紹介します。
日々の注意が大きな出費を抑えるのです。
※各部の位置や点検・交換方法、交換時期などは、メーカー・形式により異なります。整備する時は取扱説明書を確認しましょう。
この記事は2022年10月1日に掲載された情報となります。
ホクレン農機燃料自動車部 農機自動車課
①ラジエータ・冷却水(クーラント・ラジエータ液)
●役割:冷却水でエンジンを冷やします。
●トラブル:エンジンがオーバーヒートします。最悪の場合、エンジンに重大な損傷を与えることがあります。
メンテナンス方法
■冷却水の確認:冷却水が不足していたり、白濁したりしていないか確認しましょう。
②エアクリーナ
●役割:エンジンに取り込む空気のホコリやゴミを取り除きます。
●トラブル:エアクリーナが詰まると、空気の供給不足で燃費が悪化し、エンジンの馬力が出なくなります。また、排気ガスが黒くなります。
メンテナンス方法
■エアクリーナチェック:エアクリーナの汚れや破損をチェックし、汚れがあれば掃除します。
■エアクリーナ交換:交換は1年ごとが目安です。
③ファンベルト
●役割:オルタネーター、ウォーターポンプなど発電や冷却に関わる機構を駆動させます。
●トラブル:張りが適正でないと、燃費悪化などのロスにつながります。また、ファンベルトが切れるとエンジンがオーバーヒートし、バッテリーに充電されないためエンジンが始動できなくなります。
④グリースニップル
●役割:タイヤの車軸部分や各稼働部分の動きをスムーズにし、摩擦を低減します。
●トラブル:動力伝達部などの潤滑油が不足すると、部品が摩耗しやすくなり、駆動に必要な動力も増えます。作動不良になることも。
メンテナンス方法
■グリースガンでグリースを給脂します。前タイヤの車軸部分や各稼働部分にあります。
点検・整備時の安全確認を徹底しましょう
整備する時は、平坦な場所で駐車ブレーキをかけ、必ずエンジンを停止して、エンジンやオイル、マフラーなどが十分に冷えていることを確認しましょう。熱いままでは、けがにつながります。
⑤エンジン
トラクターのエンジンは軽油を燃料とするディーゼルエンジンです。なお、トラクターの出力に合った作業機が基本で、大きすぎると燃費や効率面でも不利です。
⑥エンジンオイル・エンジンオイルフィルタ
●役割:エンジンオイルフィルタでオイルをろ過し、きれいにします。エンジンオイルはエンジン内部の摩擦を軽減し、熱を抑えます。
●トラブル:エンジンオイルの量の過不足や寿命以上の使用、フィルタの汚れなどは、燃費悪化の要因です。また、オイルが汚れたままだとエンジン内部を傷つけ、故障する場合もあります。
メンテナンス方法
■エンジンオイルチェック:エンジンオイルの汚れ・量を確認、オイルが足りなければ補給します。
■エンジンオイル交換:初回は50時間で交換が目安。以降は1年ごと、または250時間で交換が目安です。
■エンジンオイルフィルタ交換:初回は50時間で交換が目安。以降は1年ごと、または500時間で交換が目安です。
⑦ウォーターセパレーター
●役割:燃料タンク内の結露など、さまざまな原因から発生する燃料内の水を除去します。
●トラブル:水がたまるとエンジンのパワーが落ち、回転が不安定になります。
メンテナンス方法
■ウォーターセパレーター内の水の確認:燃料から分離された水の有無を確認し、フロート(浮き)のレベルを確認。必要なら水抜きします。
タイヤの空気入れすぎに注意!
タイヤの空気は入れすぎないでください。破裂して、死傷事故につながる場合があります。タイヤの交換、修理はJAやお買い上げ先にご相談ください。
⑧タイヤ
●トラブル:空気圧が低すぎると走行抵抗が増し、高すぎるとタイヤの滑りが大きくなり、燃費の悪化にもつながります。
メンテナンス方法
■ タイヤの確認:タイヤの亀裂や空気圧をチェック。取付部のボルトやナットの緩みやガタつきがないかを確認します。
タイヤの空気圧が過不足の場合は調整します。適正な空気圧は取扱説明書に記載されています。
長期格納前の点検
●トラブル:長期間格納する前に確認することで、使用時の思わぬトラブルを防げます。異常がある時は早めに修理に出すことで作業時に修理が間に合わないといったトラブルを防げます。
メンテナンス方法
■ 外観の確認:オイル漏れや破損などがないか外観のチェックを行います。
■ 潤滑油の補充:前タイヤの車軸部分などにあるグリース注入口の突起(グリースニップル)にグリースガンを使用してグリースを入れます。また油さしなどで各種操作レバーがスムーズに動くように注油します。
■ 各種ペダルの動作確認:クラッチやブレーキなど各種ペダルの遊びや作動を確認します。異常がある時は販売店などに相談しましょう。
トラブルは早めに発見して対応しましょう!
各整備の内容はYouTube内の「ホクレンアグリポートチャンネル」で確認できます。