この記事は2023年8月1日に掲載された情報となります。
台風の接近が気になる季節になりました。強風や突風によるハウスの被害を最小限に抑えるための対策と、ハウスビニールの被害に対する見舞金制度を紹介します。
ホクレン施設資材部 資材課
松下 泰基 課長補佐
パイプハウスの防災対策
ハウスの被害を防ぐため、荒天が予想される時は、被覆材のたるみや破れ、ハウスバンドの緩みなどを事前に確認ください。また飛来物でフィルムが破れると、そこから風が吹き込み、ハウスが風船のように持ち上げられる危険性もあります。ハウス周辺の整理整頓も大切です(図1)。
ハウスの補強には筋交いやタイバーなど、いくつか方法があります(図2)。対策を施せばハウスを守れる確率が高まります。
長期使用でリスクが増大
資材の高騰もあり、フィルムを長期使用されている方も多いと思いますが、紫外線による劣化でフィルムが本来の強度を保てず、災害時に被害が増大するリスクも危惧されています。
また、農ビよりも強度のある農POは、強度があるがゆえにフィルムが破れず、パイプに負荷がかかり、パイプごと曲がってしまうケースもあります。状況によってはフィルムを切り、被害をフィルムだけにとどめる判断も必要かもしれません。
いざという時に備えて
被害を受けたハウスの中に作物がある場合は、早急な復旧が求められます。立て続けに台風と地震に襲われた2018年9月には全道で6,000棟のハウスが被害を受け、フィルムの注文が殺到しました。
ブラックアウトの中、工場では自家発電でフィルム加工を急いだものの、地震で道路が不通になっている地域もあり、速やかにお届けできないケースもありました。最近はこうした事態を想定して、予備のフィルムを用意されている生産者の方もいるようです。
また、更新の際、外したフィルムをすぐに廃棄せず、保管しておくという手もあります。フィルムが欠かせない育苗期など、新品が届くまでの応急措置には十分使えます。
ハウスビニール被害への支援制度
ホクレンでは、ハウスビニールに被害を受けた生産者への支援制度として、2016年に「系統銘柄ハウスビニール災害見舞金制度」を創設しています。2018年の台風災害では207件339枚のフィルムに対し、計1,000万円超の見舞金を拠出しました。いざという時の助けになる系統銘柄活用をぜひご検討ください。
最後に、悪天候の日はどうしてもハウスが心配になると思いますが、強風の中での作業は大変危険です。くれぐれも無理をされないようお願いします。
系統銘柄ハウスビニール災害見舞金制度
この制度は、JAを通じてホクレンから購入したクリンテートシリーズおよびJAノービシリーズの天井ビニールが、製造元の出荷から1年以内に自然災害により被害を受けた場合や、災害の緊急回避を目的に切損した場合などに見舞金をお支払いする制度です。
【担保する危険の範囲】
①雪害・風災・ひょう災・火災・水害による破損
②台風などの風害からハウスの倒壊を防ぐための緊急回避を目的とした切損
③盗難
※鳥獣や農機具による破損、保管中の熱融着、その他、通常必要とされる注意を怠った場合は対象外とします。
【対象商品】
●クリンテートシリーズ
クリンテートDX・クリンテートFX・クリンテートFXUV・クリンテートEX・クリンテートEXUV・クリンテートGM・クリンテートSK・クリンテートSN・クリンテートCE・調光・調光ライト
●JAノービシリーズ
ハイヒット21・ライトセンサーN-10
※上記シリーズに新たな商品ができた場合も対象とします。
【対象期間】
上記品目について、製造・加工元の出荷日から1年以内の天井ビニールが対象です。
※張り替え費用、妻面、側面、内張りビニールは対象外です。
※補修テープで修復可能な軽微な破損は対象外です。
【支出金額】
損害の内容に応じて、購入金額の一部を見舞金としてJAを通じてお支払いします。ただし、1棟につき50,000円を上限とします。
被災時は速やかにJAへご連絡ください。被災状況の現地確認に伺います。