この記事は2020年2月1日に掲載された情報となります。
これまであまり接点がなかった農業と福祉。北海道教育庁の三瓶さんに、接点を増やし互いに理解を深めていくことの意義についてお聞きしました。
北海道教育庁 学校教育局
特別支援教育課 主査 三瓶 聡さん
「障がいの有無に関わらず、誰もがいきいきと活躍できる社会の実現へ」
●お問い合わせ先:特別支援教育課 TEL 011-204-5774
障がい者の雇用を街ぐるみでサポート
道内には道立・国立・私立合わせて73校の特別支援学校があり、約6千人が学んでいます。対象となるのは知的障がい、視覚障がい、聴覚障がい、肢体不自由および病弱の子どもたち。高等部には農業科や園芸科が設置されている学校もあります。農業科では農作物の栽培や食品加工、園芸科では草花を使った加工品づくりなど、実践的な作業学習を通して、社会人として働く力を身に付けることが目標です。
北海道教育庁の三瓶さんによると、昨年度の卒業生の進路は、約3割が企業での就労、6割が福祉施設の利用、1割が進学です。
「地域によっては、役場を中心に経済団体や福祉関係者などが特別支援学校をサポートする協議会を立ち上げ、きのこ工場で現場実習を受け入れたり、商工業者が連携して一般社団法人を立ち上げ、観光分野や農業の働き手として障がい者を雇用している町もあります」
一生懸命な姿を見てほしい
「社会に出る子どもたちにいろんな体験をさせたいので、実習の機会を与えてほしい」と語る三瓶さん。自治体と農協、経済団体、福祉事業者など関係機関が結びつけば、農福連携の可能性が広がるだけではなく、生徒の自立と社会参加につながると期待しています。
「現場実習にご協力いただける生産者の方がいらっしゃいましたら、当課にご連絡をお願いします。詳細をお聞きして学校側に伝え、その後、学校の担当者と直接やりとりしていただきます」
道教委では学校やハローワークなど地域の関係者でネットワークを作り、障がいのある生徒が就労し働き続けるための支援を行う「障がい者就労促進地域連携事業」に取り組んでいます。
「将来の自立した生活に向け、生徒が一生懸命、学習に取り組んでいる姿を、生産者の皆さんにも見ていただけたらうれしい」
目指しているのは、障がいの有無に関わらず、全ての子どもたちが多様な個性を認め合い、誰もがいきいきと活躍できる社会の実現。それこそが、三瓶さんはじめ、特別支援教育に携わる関係者共通の願いです。