この記事は2017年12月1日に掲載された情報となります。
とある農業生産法人にパート従業員として勤める同年代の5人。ほぼ農作業未経験だった彼女たちにとって、農業の現場は働きやすい環境なのでしょうか。良いところ、改善したほうがいいところなど、感じていることを率直に語ってもらいました。
座談会メンバー
Aさん パート歴3年
Bさん パート歴4カ月
Cさん パート歴1年半
Dさん パート歴3年
Eさん パート歴3年
座談会のメンバーはトマトパートとして、主にミニトマトの苗植え、育成、わき芽取りなどの管理、収穫まで担当。そのほか、他の野菜の時期によってさまざまな作業をこなす。
編集部:全員30代でお子さんがいらっしゃるとのことですが、働きやすいと思うのはどんなところですか?
Aさん:急に休まなくてはいけなくなっても考慮してもらえるところかな。仕事を探すときは子どものことを一番に考えたので、休みが取りやすいことが決め手でした。
Bさん:子どもが小さいと働ける時間が限られますよね。私のワガママに合わせていただける環境だと思います。
Cさん:私は、Dさんから教えてもらって、自分も働けるかなと思いました。子どもが突然熱を出したり、具合が悪くなっても抜けられる。子ども中心で働けるのはありがたいです。
Dさん:子どもが幼稚園から帰宅する前に帰れるのはいいですね。それに、夏休みとか長期で休みを取りやすいし、農業の経験がなくても作業は覚えたらすぐ慣れる。同年代が多いので働きやすいというのもあります。
Eさん:長い休みが取れれば、家族でキャンプに行ったりもできます。家庭を優先しながら、少しでも収入が得られるのがいいと思います。
編集部:もっとこうだったら働きやすいのに、と感じることはありますか?
Eさん:作業に自信がなくて周りに教えてくれる人がいないとき、何をやればいいのかわからないことがあります。「自分一人では責任がとれないし、どうしよう」と困ってしまう。
Bさん:私の実家は農家なので、何も知らないわけではありませんでしたが、それでも細かい作業はわからない。まわりの人に教えてもらって覚える感じですね。
Dさん:トマト以外に、春先はとうきび、秋には大根の手伝いに行くのはわかっているけれど、毎年ちょっとずつやり方が変わっていて戸惑います。みんな忙しいので、誰に聞いていいのか……。ウロウロしていたらジャマだし、慣れない作業で遅いこともプレッシャーになる。
Cさん:トマトはある程度経験があるから、上の人がいなくても自分たちで相談できるけれど、わからない畑だと誰に聞いたらいいのか、というのはありますね。リーダーというのはいないので、ベテランのパートの方や、早出の人に聞いたりしています。
Aさん:作業の確認はしていますが、別の人に違うことを言われたり。毎年、新人のようにドキドキです。
Bさん:多分、それぞれこだわりがあるんですよ。長くやっている方もいるし……。
Aさん:私は入った年からトマト栽培が本格的に始まったから、作業を一から十まできっちり教えてもらったけれど、後に入った人は、そこまで教えてもらっていないんじゃないかな。
Bさん:私は、入っていきなり現場で周りの人に教えてもらいました。
編集部:具体的には、どうすればもっと働きやすくなると思いますか?
Bさん:たとえば、最初の1週間は研修のように、基本的なことを農業者から指導してもらえればやりやすいかも。聞く人によって作業の方法が違ったら、新しく入る側としては戸惑います。
Aさん:私たちも知識があるわけじゃないので、わかっていることしか教えられないし、それも自信満々で教えられるわけではないですよね。最初にしっかりと指導してもらえれば、私たちとやり方が違うからといって、新人も戸惑わないと思います。
Eさん:あと、作業ノートはあるけれど、作業内容を書くだけだから、引き継ぎや作業の明確化にはなってませんよね。私たちはグループLINEも使っていますが、たまにしか朝に連絡が回ってこない。私は出勤時間がほかの人より遅いので、事前にその日の作業内容がわかるとうれしい。LINEをもっとうまく使ったらいいんじゃないでしょうか。
Bさん:作業で使う手袋やジャンパーなどは、支給や補助があるといいと思います。今は自費で用意していますが、ジャンパーはそれなり高価だし、使い捨ての手袋は一箱1,000円くらいのをワンシーズン2、3箱くらい使うので、補助があると助かります。
Cさん:帰りにまっすぐ買い物に行く人もいるから、ちょっとした着替えの場所があるといいかな。でも、コミュニケーションの面では、先輩の方々は気さくに話かけてくれるし、わからないことも聞いたら教えてくれるので、働きづらさを感じることはないです。
Dさん:私たちは2、3年しか働いていないのでわからない部分も多い。同じ場所で作業する人同士や生産者とうまくコミュニケーションをとれる仕組みをつくることが、働きやすさには大事だと思います。