農作業事故防止

農作業事故を防ぐために

キーワード:農作業事故
安全研修会写真
農作業事故防止のための「農作業安全研修会」を行っております。
ホクレン各支所営農支援室・農業機械担当課までお問い合わせください。
この記事は2016年8月1日に掲載された情報となります。

ホクレン 農機燃料自動車部 農業機械課

 

POINT!
「事故につながる危険がごく身近にある」
「自分が危険を伴う作業をしている」
その自覚が大切です。

 

農作業事故の状況

農作業事故は他人事ではありません。北海道内では毎年20名前後もの農業者が農作業事故で亡くなられています。負傷事故にいたっては平成26年度でも2200件以上発生しています。

 

農作業事故者の男女の割合

 

発生件数は過去から変わらないように見えますが、農業就業人口が減っていることから、発生割合は増加しています。けがで農作業ができなくなり、作付規模縮小や離農になってしまうケースも多く見られます。また、事故の3割は女性で、家族を含めた安全対策が求められています。

 

年度別事故発生状況の推移

 

なぜ農作業事故は減らないのか?

農作業は作業機やほ場、天候等、状況もさまざまで、的を射た対策が難しい面があります。農作業に潜む危険を事故事例から考えてみましょう。

 

農作業事故例と原因

【事故例 1】刈払機の刈刃で左足を切った。(50代男性)

背負式の刈払機で水田畦畔の草刈作業中、脇の土盛りに刈刃が当たった瞬間、キックバックを起こし、左足小指関節の骨折と、刈刃により深い傷を負った。

【原因】「基本操作の誤り」 「服装(安全靴を履いてなかった)」「刈刃カバー未装着」

キックバックの危険を減らす「右から左へ刈る」作業方法を知らなかった。安全靴を履いてなかった。草が詰まるので刈刃カバーを外していた。慣れた作業で油断していた。

 

刈払機の安全作業
事故例1

 

【事故例 2】オニオンハーベスターのタッピングローラーに巻き込まれた。(40代男性)

収穫作業中、タッピングローラーに詰まった雑草を、右手で取ろうとして巻き込まれ、右手薬指第一関節切断の傷を負った。

【原因】「エンジンを掛けたまま」「服装(革手袋)」

機械を止めずに雑草を取り除こうとした。普段は(直接手で触らず)木の棒で突いて取り除いていたが手が出てしまった。革手袋をはいていた(巻き込まれる恐れがある作業では手袋は着用しない)。

 

事故例2
事故例2

 

【事故例3】PTO駆動軸に衣服が巻き付いた。(30代男性)

でん粉原料用馬鈴しょ収穫中、異音がしたのでトラクターを停止(PTOは切らず)、拾い上げコンベアに草が詰まっていたため取り除こうと、しゃがんで左手を伸ばしたところ駆動軸(PTO)の剥き出し部分に着用していたパーカーの紐が巻き付き、あっという間に引き寄せられ首が締まった状態になった。服を引きちぎって脱ぎ、間一髪で脱出したが、頸椎を捻挫、顔面打撲、首・胸部擦過傷を負った。

【原因】「PTOを廻した状態」「焦り」「不適切な服装」「PTOカバー欠損」

PTOクラッチを切らなかった。作業に適さない服装であった。やや急いで作業していた。PTOカバーが剥き出しになっていた。

 

事故例3
事故例3

 

駆動軸
駆動軸

 

駆動軸で作業する様子
駆動軸で作業する様子

 

農作業事故防止のために

事例から、①常に農作業に適した服装(安全靴の着用、ダブついた袖や裾は危険など)や、②機械の点検・整備・清掃を行う場合は必ずエンジンやPTOを切ることの大切さがわかります。他にも人的な要因として、③操作ミス、④基本操作・手順を守らない、⑤焦り、⑥不注意、⑦共同作業の連携不徹底、などがあり事故が起きる際には概ね複数の要因が重なっています。

事故を防ぐため、単なる「気を付けましょう!」は対策になりません。人は必ずミスするものです。自分では「当たり前」と思っている作業方法、機械、道具、環境などに埋もれた「危険」や「問題点」を見つけ、ミスしても大事に至らないよう改善していきましょう。

まずは、「事故につながる危険がごく身近にあること」、「自分が危険を伴う作業をしていること」を自覚し、ヒヤリ・ハット体験は必ず家族や仲間に伝え、全員で対策を考えることが大切です。繁忙期に向け農作業事故防止に努めましょう。

(農業機械課 馬渕 彰司)