本格的な春作業を前に、あらかじめ知っておきたいポイントを、北海道農政部生産振興局の技術普及課で教えてもらいました。気を付けるべき点はもちろん、注目の新技術や新品種など、営農形態ごとに紹介します。ぜひ参考にしてください。
写真、図等提供元:地方独立行政法人北海道立総合研究機構、北海道農政部生産振興局技術普及課
この記事は2023年4月1日に掲載された情報となります。
天候以上に社会情勢に大きく影響を受けた2022年
昨年は規模の大きな災害もなく、農作物の生育はおおむね順調に推移しましたが、ウクライナ情勢など外部環境の変化で飼料や肥料等が高騰し、生産コストに影響を受けた一年でした。
天候を振り返ってみると、3〜4月は平年より気温が高く、春作業が早めに進んだものの、5月下旬から6月上旬には低温・強風・多雨などが目立ち、オホーツク海側など一部地域では日照不足が心配されました。7月は月平均気温がかなり高くなり、8月上旬から中旬にかけては広範囲にわたり断続的な降雨が発生。馬鈴しょや牧草の収穫作業が遅れた地域もありました。9月は月平均気温が高く、高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、収穫作業は平年よりやや早く行われた地域もありました。
品目別に見てみると、昨年の水稲の作況指数は106(良)。特に低タンパク米の比率が高く、収量・品質ともに非常に良い出来になりました。
畑作物は4〜5月の高温・少雨で土壌が乾燥状態となり、一部地域では風害が発生。6月の集中豪雨や降雹(こうひょう)、8月の断続的な降雨などにより長期にわたって土壌水分が多い状態が続き、作物の生育に影響が出て、小麦の収量やてん菜の収量、糖分は平年をやや下回りました。
野菜はトマトなどの果菜類で7〜8月を中心に着色不良果や軟果、尻腐れ果等が発生。根菜類では一部の作型で根部の肥大不足、生育障害が発生し、収量や品質が低下しました。玉ねぎは収量こそ平年並みでしたが、地域差や圃場差が見られました。
花きは6月上旬の低温と下旬の日照不足の影響で一部の品目の開花が遅れたほか、チップバーン(葉先枯れ)等の生理障害で品質が低下。お盆以降は高温による短茎開花が増えました。
畜産については飼料、肥料、燃料など生産コスト高騰の影響を受け、経営環境が厳しさを増しています。国際情勢の改善が見通せない中、酪農生産の現状に対する理解の醸成が求められています。