かぼちゃの収穫作業を効率化する、茎葉処理機の開発についてご紹介します。
この記事は2022年12月1日に掲載された情報となります。
ホクレン種苗園芸部 野菜果実花き課
農機燃料自動車部 農機自動車課
営農支援センター スマート農業推進課
訓子府実証農場 農産技術課
かぼちゃの収穫作業を少しでもラクに
かぼちゃは国内産の約半分を北海道が占める野菜です。しかし、重量野菜で人手による収穫がメインのため、労働力不足もあり、栽培面積は年々減少傾向となっています(図1)。
ホクレンでは、かぼちゃの収穫作業を少しでもラクにするため、収穫作業において労力と時間がかかる原因の一つである「果実を蔓(つる)や茎葉の中から見つける作業」の効率化を目指し、訓子府機械工業株式会社、ヤンマーアグリジャパン株式会社による「かぼちゃ茎葉処理機」の開発を、北海道立総合研究機構とともに支援しています。
茎葉処理の仕組み
機械の構成は、トラクターの前部に取り付ける「デバイダー」と後部に取り付ける「チョッパー」からなっています(写真1、2)。
デバイダーは回転刃で蔓を切断しながら、果実をトラクターのタイヤで踏まないよう左右に振り分けていきます。後部のチョッパーは、馬鈴しょ茎葉処理用のものを流用しており、果実を傷つけない高さに設定し、茎葉のみを切断していきます。
今年度の現地試験でも手応え
2020年より取り組みを開始し、ホクレン訓子府実証農場にかぼちゃ圃場をつくり、試験を行ってきました。基本的な仕様が固まった今年度は訓子府の圃場に加え、主要なかぼちゃ産地である3JA(JAとまこまい広域、JA北ひびき、JA道北なよろ)にご協力いただき、実用化を目指して現地試験を実施。その様子を生産者、JAの皆さんにご覧いただきました。
前部デバイターによる時速3〜5kmでの蔓切断と果実の振り分け、後部チョッパーでの茎葉処理ができること、製品にならない重大な果実の損傷は10%以下であることなどを現地試験で確認しました(写真3、4)(試験時の動画を2次元コードよりご覧になれます)。
過去の試験では、茎葉処理を行うことで通常よりも20%ほど収穫作業時間の効率化ができるという結果が出ています。茎葉処理機の作業の様子を見た生産者からは、「(果実を見つけるための)茎葉をかき分ける作業がなくなるのはラク」、「果実が見えるようになることで、次に収穫する果実の場所を見込みながら作業できるので効率が上がる」、「茎葉が繁茂している状況では、どうしても見落として収穫されない果実がある。茎葉処理を行うとその割合は格段に減少すると思う」などの感想がありました。
現地への普及に向けて検討中
現在、土質や水分などさまざまな圃場でのスムーズな作業進行と果実の損傷割合を下げるため、細部の改良を行っています。また、現場での活用に向け、価格やメンテナンス体制などの検討協議を関係者で行っています。生産者の皆さんにご提案できるようになった段階で、改めてご案内する予定です。
機械についてのお問い合わせがありましたら、ホクレン各支所営農支援室、または営農支援センタースマート農業推進課までご連絡ください。
この「かぼちゃ茎葉処理機」により、収穫作業が省力化、効率化され、道内のかぼちゃ生産の維持拡大に少しでも寄与できればと考えています。