ドローンによる「請負散布」が始まりました!

キーワード:農薬

ドローンによる「請負散布」

2021年度から開始した、ホクレンのドローン請負散布を紹介します。

この記事は2022年6月1日に掲載された情報となります。

ホクレン肥料農薬部 農薬課 技術普及課

省力化で注目される農薬散布用ドローン

農業の労働力不足が深刻化しています。その対応として、農作業委託や農薬の省力化製剤などが広がりを見せる中、近年進化のめざましい農薬散布用ドローンが、労力軽減や作業性向上につながると注目されています。

ホクレンでは今後の普及に備え、道内各地で防除効果や作業性などを確認する試験を行ってきました。

水稲の各種病害虫や雑草、秋播き小麦の雪腐病では、慣行防除機器(無人ヘリコプター›以下、無人ヘリ›やブームスプレーヤなど)とほぼ同等の防除効果が確認され、飼料用トウモロコシのすす紋病やかぼちゃのうどんこ病などに対しても普及性があることが分かりました。

無人ヘリに比べ小型な農薬散布用ドローンの作業性を疑問視する声もありましたが、飛行時間やタンク容量から1回当たりの散布面積は小さいものの、小回りが効くことなどから同等以上の作業性があることを確認しています(アグリポートVOL27で紹介)。

ドローンによる請負散布の特長

こうした結果を踏まえ、生産者ニーズに応えて生産基盤の維持や強化に貢献すべく、ホクレンでは農薬散布を行う事業者と連携し、2カ年のトライアル期間を経て2021年度よりドローンによる請負散布を開始しました。

農薬散布用ドローンを活用した請負散布には以下の特長があります(図1)。

ドローン請負散布のメリット
図1.ドローン請負散布のメリット

❶計画的な防除が期待できる
圃場ごとの作業性は無人ヘリと変わらないことに加え、圃場間を移動する時の運搬作業が容易なこと等から、無人ヘリと同等以上の面積に対応でき、計画的作業につながります。

❷電波の混信が起きにくく、安定した散布が可能
電波のチャンネル数に制限がある無人ヘリは混信も懸念され、同地区を複数機で散布する場合は事前調整が必要です。一方、使用する周波数帯が違うドローンは混信が起きにくいため、事前調整なく同地区で複数機飛行させることが可能です。

❸散布後は要望に応じ飛行データを提供可能
飛行データ(履歴)をGPSのデータで取得しているので、要望に応じ提供可能です。

❹さまざまな地形に対応
小型なドローンは小回りが効くため、変形地や傾斜地にも対応が可能です。

❺予備機を準備可能
普通車両に複数機を搭載できるので、現地で機体トラブル等が発生した場合も予備機で対応できます。

好評だった2021年の請負散布

昨年度は、水稲の除草剤および本田防除(いもち病、カメムシ類)、飼料用トウモロコシのすす紋病、秋播き小麦の雪腐病などを対象に約700ha、12JAで請負散布を実施しました(図2)。防除効果も従来と同等で、現地から好評をいただいています。

2021年の請負散布事例(イメージ)
図2. 2021年の請負散布事例(イメージ)

2022年の重点分野

ホクレンでは、2022年度の請負散布を重点的に進める分野を表1の通り考えています。

2022年度請負散布の重点分野
表1. 2022年度請負散布の重点分野 ※未成熟トウモロコシにおけるアドマイヤー顆粒水和剤は登録削除となり、使用することができません。(2021年9月29日付、地上散布も含む)

農林水産省の支援もあり、農薬散布用ドローンで散布可能な農薬は増加の状況にあります。今後はセンシングによる雑草判別に基づく、ピンポイント散布などの検討も進めていく予定です。

請負散布に関わるお問い合わせはお近くのJ‌Aまでお寄せください。