肥料

土壌分析結果を踏まえた適正施肥でコスト低減

キーワード:土壌分析施肥肥料
この記事は2021年8月1日に掲載された情報となります。

ホクレン肥料農薬部 技術普及課

POINT
●2020年度施防協試験より、養分蓄積圃場での減肥銘柄使用によるコスト低減事例を紹介します。

施肥・防除に関する課題解決に向けJ‌A・ホクレンでは、農業試験場・普及センターなどと連携し、全道各地区に「施肥防除合理化推進協議会(施防協)」を組織し現地試験を行っています。

土壌養分の蓄積に合わせて減肥

土壌養分が蓄積している場合は「北海道施肥ガイド」(アグリポート31‌号掲載)に基づく減肥が有効です。今回は2020年度に実施した試験の中から、土壌分析結果を踏まえた減肥銘柄施用による適正施肥の取り組みを紹介します。J‌A・ホクレン・肥料メーカーが連携して地域の土壌分析傾向に対応した新規銘柄を設計し、現地試験で効果を確認しました。いずれの事例も、土壌養分の蓄積傾向に合わせて減肥しても収量・品質は慣行区と同等以上となり、肥料コストを低減できました。

令和3肥料年度は肥料価格が上昇しており、コストの低減を図るためにも土壌分析を定期的に行って適正施肥に取り組むことが大切です。

アグリポート31号「北海道施肥ガイド2020とその使い方」記事は2次元コードよりご覧いただけます。
https://www.hokuren.or.jp/kouho/ap/backnumber/31.pdf#page=26

試験1. 作物:水稲 対象地区:JAあさひかわ(旭川市・鷹栖町 6圃場)

窒素(N)の肥料抜けが早く、リン酸(P)とカリ(K)が蓄積した圃場向けに、リン酸とカリを減らし尿素を入れた銘柄を設計し試験しました。慣行区と同等の結果が得られ、JAあさひかわ独自銘柄「化成肥料 稲の匠408」「BB肥料 稲の匠488CR」として取り扱いを開始しています。

JAあさひかわ独自銘柄「化成肥料 稲の匠408」「BB肥料 稲の匠488CR」

試験1. 作物:水稲 対象地区:JAあさひかわ(旭川市・鷹栖町 6圃場)

試験2. 作物:ミニトマト 対象地区:JAよいち(余市町)

リン酸(P)が多く蓄積されている圃場で、有機・アヅミン(腐植酸)入りリン酸減肥肥料を設計し試験しました。慣行区と同等の効果が得られ、北後志地区(JAよいち・JA新おたる)独自銘柄「トマト配合S849A」として取り扱いを開始しています。

北後志地区(JAよいち・JA新おたる)独自銘柄「トマト配合S849A」

試験2. 作物:ミニトマト 対象地区:JAよいち(余市町)

試験3. 作物:てん菜 対象地区:JA摩周湖(弟子屈町)

リン酸(P)が多く蓄積されている圃場向けに移植てん菜向け減肥肥料を設計し試験しました。こちらは、複数年での効果を確認するため2021年度も継続して試験を行います。

試験3. 作物:てん菜 対象地区:JA摩周湖(弟子屈町)

肥料コストについては試験時の試算のため、実際とは異なる場合があります。今回ご紹介した独自銘柄は地域限定での取り扱いとなります。施防協では地域の課題解決に向けた銘柄を検討し、試験に取り組んでいます。

ご興味のある方はお近くのJAにお問い合わせください。