土壌pHとは何?
どのように調整すればいいの?

キーワード:土壌pH石灰質肥料酸性土壌
石灰を散布

 

この記事は2026年2月2日に掲載された情報となります。

 

ホクレン 肥料農薬部 技術普及課 技師 吉岡 哲也

ホクレン 肥料農薬部 技術普及課
技師 吉岡 哲也

 

土壌pHは作物の健全な生育に不可欠な管理項目です。ここでは土壌pHの基本から対処方法までをホクレンの吉岡技師に聞きました。

 

Q.土壌pHとはどんなものでしょう?

 

A.土壌がどのくらい酸性かを測る指標です

 

土壌pHは土壌の酸性やアルカリ性の度合いを示す数値のことです。0から14の範囲で表され、7が中性、それより小さいと酸性、大きいとアルカリ性となります。生産者の皆さんにとっては土壌の酸性度を示す指標と考えていいでしょう。

土壌pHの値を知るにはJAなどを通じて土壌分析センターで測定することが多いです。土壌pHを測定するために必要な土壌サンプルは圃場全体の成分を均一に反映させるため、一筆ごとに「5点法」で深さ20㎝までの土を採取します。測定には専用のpHメーターが使用されます。

多くの作物にとって、pH5.5〜6.5の弱酸性が最適な状態とされます。ただし、作物によって最適なpH値は異なります。例えば、ほうれん草などは6.5に近い方、馬鈴しょは5.5に近い方が最適な状態となります。ブルーベリーのように、より強い酸性を好む例外的な作物もあります。

 

Q.なぜ土壌は酸性化するのでしょう?

 

A.降雨、施肥、作物の吸収の3つが主な原因です

 

土壌は放置すると自然に酸性化します。その主な原因は以下の通りです。

①大気中の炭酸ガスを溶かし込んだ雨水が、土壌中のアルカリ分を地下に流す。
②化学肥料に含まれる硫酸イオンなどが土壌中のアルカリ分(カルシウム等)と結合し流出する。
③作物がアルカリ分を吸収し、収穫物として外に持ち出される。

雨が多い日本では土壌が酸性化しやすい傾向にあります。ただ、降雨による土壌の酸性化は数百年といった非常に長期間で徐々に進行する自然現象です。そのため、農業におけるpH管理の中心は、作物が根を張る表層部分を対象とした短期的な調整となります。

 

図1.土壌酸性化の仕組み(草地の土づくり「平成28年2月北海道農協〈土づくり〉運動推進本部発行」より改変)
図1.土壌酸性化の仕組み
(草地の土づくり「平成28年2月北海道農協〈土づくり〉運動推進本部発行」より改変)

 

 

Q.土壌pHは作物にどんな影響があるんでしょう?

 

A.養分や有害物質の溶け出しやすさに影響が出ます

 

土壌pHは作物にとって有害な土壌成分の溶解性に大きく影響します。土壌が酸性になると、植物に有害なアルミニウムが溶け出しやすくなります。

また、窒素などの必須養分も、pHが極端に酸性またはアルカリ性に傾くと土壌から溶け出さなくなり、作物が吸収できなくなる「欠乏」や、逆に特定の成分を吸いすぎる「過剰」を引き起こす可能性が高くなります(図2)。

土壌pHは、特定の病害の発生しやすさにも関わります。例えば、馬鈴しょのそうか病菌はアルカリ性を好み、根こぶ病菌は酸性条件で活発になります。そのため、栽培する作物に合わせてpHを調整することで、これらの病害の発生を抑制できます。

 

図2.pHによる各養分または有害物質の溶解度の違い(関東土壌専技会、1996年)
図2.pHによる各養分または有害物質の溶解度の違い(関東土壌専技会、1996年)
※バンドが細いほど溶解度が低いことを表す

 

 

Q.土壌pHを改善する方法はありますか?

 

A.アルカリ性側に調整する石灰質肥料を用います

 

酸性に傾いた土壌のpHを上げる(アルカリ性側に調整する)ためには、主にアルカリ性である石灰質肥料を用います。必要な投入量は、現在のpH、目標とするpH、そして土壌の種類によって異なるため、アレニウス表(表1)などを参考に計算します。なお、石灰質肥料を配合したBB肥料もあり、省力化が図れます。

 

表1.アレニウス表(一部抜粋)
表1.アレニウス表(一部抜粋)
pH(最上段の数字)と土性、腐植含量から炭酸カルシウムの施用量(kg/10a)を算出
注1.耕土の深さ10㎝に要する施用量
注2.消石灰使用の場合は25%を減じた量を施用
注3.火山灰土の場合は普通土壌より比重が軽いので、この量より30%程度を減じた方が良い

 

 

Q.土壌pHを調整するために大切なことは?

 

A.土壌分析を行い、対策を確実に実行することです

 

適切なpH管理を行うには、3〜4年に一度の土壌分析が大切です。土壌のpHは見た目では判断できず、土壌によってもpHの変動しやすさが異なるため、分析結果に基づき適切な量の石灰質肥料を投入する必要があります。輪作体系では、作物ごとの最適pHを考慮した施肥計画が重要です。

 

道内の土壌pHはどうなっている?

直近3カ年のデータでは、北海道の畑作土壌の約3割強の圃場でpHが基準値外となっています(くみあい土壌分析センター調べ)。自分自身の圃場の状態を把握することが大切です。

 

土壌pHについての詳細はこちらの記事でもご覧いただけます。>>VOL.46の記事を見る