
奈良県出身。東京の新農業人フェアをきっかけに、むかわ町に移住。研修を経て2020年に就農。育てたレタスが野菜ソムリエサミットで金賞を受賞したこともあります。
JAむかわ 農業振興部 農業振興課 課長 佐藤 志保里さん(左)
むかわでは町とJAが共同で「むかわ町地域担い手育成センター」を運営。新規就農に力を入れて取り組んでいます。
この記事は2025年8月1日に掲載された情報となります。
むかわ町では、JAむかわが窓口となり〈ののの〉の受け入れを進めています。2025年4月に初めて参加者を受け入れた藤井ファームの藤井孝宏さんにお話を聞きました。
JAとタッグを組み、受け入れ
—〈ののの〉を知った経緯は?
佐藤:ホクレンを通じて〈ののの〉の取り組みを知り、今年からハウスを増やした藤井さんに、試してみてはどうかとお声がけしました。
藤井:今まで私と妹の2人でやっていて、パートさんを雇ったこともありませんでした。人手は常にギリギリなので、もう返事は「イエス」以外ありませんでした。「お手伝いをお願いします」とお伝えしました。
—藤井さんの営農形態は?
藤井:ハウス10棟で冬にレタスを植えて春先に収穫して、そのあとはトマトです。㆒番忙しいのはトマトの収穫時期で、作業が追いつかない状態。それなのに今年からハウスを7棟増やしたので、どうしようかと悩んでいたところでした。宿泊場所にJAの研修生住宅を使えるというので、それなら受け入れたいとお願いしました。
佐藤:トマトの収穫時期は研修生住宅を特定技能外国人に提供しているので空いていません。でも6月までは使えるので、今回レタスで試験的に受け入れてみることにしました。
—受け入れにあたり藤井さんが準備したことは?
藤井:〈ののの〉のサイトに載せるための取材を受けたくらい。あとは実際に参加者が来たら、どんな作業をしてもらおうか考えたかな。
佐藤:今回はJAが窓口なので、サイトに掲載した翌々日に応募があったと連絡があり、藤井さんに確認して3泊4日の受け入れが決まりました。札幌在住の40代の女性の方でした。
即戦力として活躍
—お手伝いはどんな内容ですか?
佐藤:自家用車で来てくださったので、初日は鵡川駅で集合して、私が藤井ファームへ案内して、その日は打ち合わせだけ。そのあと研修生住宅に案内し、翌朝からお手伝いをお願いしました。
藤井:朝6時から9時までの3時間、収穫したレタスの箱詰めと、出荷の積み込みを手伝ってもらいました。もともと援農ボランティア団体の代表をされている方で、即戦力になってくれて、いやもう、とても助かりました。作業終了後の予定も事前に組んでいたようで、すぐに出かけられたようでした。
佐藤:「前から気になっていた、胆振エリアの農家さんを回ってみたい」とのご希望だったようです。
藤井:今日はいちご農家さんにアイスクリームを食べに行くって言ってました。だから「先方に差し上げて」と、うちのレタスを持っていってもらいました。明日は最終日ですけど「朝5時から来ます」って申し出てくれて。「え、いいの?」って。ありがたいですね。
地域の農業を知ってもらえる
—〈ののの〉の受け入れは広がりそうですか?
佐藤:むかわ町内で受け入れている農家さんはもう㆒軒あって、そちらは母娘2人で経営しているのですが、九州出身の男性が4泊5日で来てくださいました。新規就農も検討されているようで、午前だけでなく午後もお手伝いしてくださったそうです。力仕事も手伝ってくださり、大変助かったと聞いています。
藤井:その方、うちにも遊びに来て、新規就農についてなど、2時間くらいおしゃべりしていきましたよ。
佐藤:町の雰囲気も感じていただけますし、新規就農のきっかけにもなるかもしれません。
—生産者が負担する費用はありますか。
佐藤:㆒日当たり保険料込みで550円を〈ののの〉に支払います※。JAは手数料をいただいておらず、研修生住宅の宿泊にかかる実費のみ、藤井さんにご負担いただいています。
藤井:異業種の方とお話しする機会はあまりないので、新鮮で楽しかったですね。
佐藤:参加者に報酬があるわけではないので、労働力として捉えるわけにはいきませんが、農業を身近に感じていただくことで、裾野が広がり、新規就農につながればうれしいと思っています。
藤井:え、佐藤さんめっちゃいいこと言いますね。今の言葉、僕のコメントとして書いてもらえますか(笑)。
佐藤:宿泊場所さえ確保できれば、もっと多くの人に来てもらえるはず。むかわ町やむかわ町の野菜を、より多くの方に知っていただけたらうれしいです。
※2025年4月より初期費用38,500円がかかります。