念願の“和牛オリンピック”「悔しい」を超える結果を目指して 

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念願の“和牛オリンピック”「悔しい」を超える結果を目指して

北海道和牛振興協議会
会長 宮前 裕治さん(JA十勝池田町)

この記事は2023年10月27日に掲載された情報となります。

 

我が家は福井県から入植して、私で五代目。晴れた日は雌阿寒岳と雄阿寒岳が見える山頂で自然放牧した黒毛和種の繁殖牛を育てています。我々の母牛から生まれた子牛を引き取ってくださる肥育農家さんたちが苦労しないよう、ストレスがかからない環境で丈夫な牛を育てるのが、自分たちの務めだと思っています。

食の王国北海道は魚介や野菜、ミルクなどが全国的に有名ですが、実は和牛の生産量は鹿児島県に次いで全国2位。毎年8万頭弱の子牛が登録されています。和牛の世界では5年に一度、〝和牛のオリンピック〟と呼ばれる品評会「全国和牛能力共進会」(以下、全共)があります。昨年鹿児島県で開催された全共では北海道史上初の2部門での優等賞3席を獲得しています。

実はこの快挙に、会場にいた北海道勢120人以上の関係者全員が喜びに沸きましたが、当の生産者たちが口にしたのは「悔しい、一番になりたいです!」という混じりけのない一言でした。若い彼らがそう言ってくれたことがうれしくて、思わず胸が熱くなりました。

2027年の全共は、初の北海道開催が決まっています。過去に全共の開催地となった町は和牛の生産地として大きく飛躍していることからも、北海道開催は北海道和牛振興協議会前会長の佐藤弘一さんをはじめとする関係者の長年の夢でした。

その実現がかなった今、皆が心を一つにして知恵や技術を共有し、ホーム開催にふさわしい結果を手にする。それが北海道の和牛に関わる皆の今の目標です。

北海道和牛をあまり食べたことがないという方々にもぜひ注目していただき、新しい北海道の食のブランドに成長する姿を見届けていただきたいです。

Profile:1967(昭和42)年、池田町出身。北海道帯広農業高校卒業。地元の建設会社に勤務後、和牛の繁殖農家である実家に就農。地元の和牛生産者たちのリーダーとして池田町和牛生産改良組合組合長、十勝和牛振興協議会会長を兼任。2023(令和5)年5月より北海道和牛振興協議会会長に就任。写真はご自慢の母牛たちを放牧している山頂で撮影。