この記事は2017年8月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 農業総合研究所 営農支援センター 訓子府実証農場 畜産技術課
POINT!
哺育期の子牛には、冬期だけでなく、晩秋や初春も充分なエネルギー給与が必要です。
子牛は生まれてから3週齢程度まで、気温が20℃以下になると、体温を維持するため特に多くのエネルギーを消費します。体温維持のエネルギー消費を最小にする温度域を熱的中性圏と呼びますが、哺乳牛(幼齢牛)では13℃以上、25℃以下(12℃間隔)とされています。
子牛がいる場所の温度がこの範囲外にある場合は、維持エネルギー量が増加し、発育増体につながるエネルギー量が減ってしまいます。
畜舎内温度推移の状況(ホクレン訓子府実証農場)
当実証農場では、哺育舎に温湿度計(おんどとりRTR503) を設置し畜舎内温度を計測しています。図1は過去5カ年(平成24年~28年)と昨年(平成28年)の最低気温を比較したグラフです。
昨年は過去5カ年と比べ、7月~9月(夏~秋口)は高く、11月~12月(秋~冬入)は低い傾向でした。
また1日の最低と最高の気温差を比較すると(図2)、昨年は気温差が12℃以上の日が10月ごろから増えていました。
子牛の体温を維持することはとても重要です。冬季は当然ですが、晩秋や初春など1日の気温差(12℃以上)が大きな時期も注意する必要があります。この時期、子牛は体重あたりの体表面積が大きいため、体温を維持するエネルギー量がより多く必要となります。
エネルギー不足に起因する各種疾病を防止するためにも、最近の気温変動をふまえた、適切な飼養管理が求められます。
寒冷ストレスが増える時期の子牛用代用乳
そこで、特に気温差の多い季節の変わり目から、寒冷ストレスが増す時期におすすめの、子牛用代用乳をご紹介します。ホクレンでは昨年4月から、代用乳に使用している油脂を改良し油脂含量を高めた、子牛用代用乳「ミルスター」の販売を開始しています。
「ミルスター」は、消化・吸収性の良い中鎖脂肪酸を活用することで油脂含量を増やし、粗脂肪含量25%以上、TDN116%以上とエネルギー価が高くなっています。これにより、エネルギーを高めても人工乳(離乳食にあたるもので、固形飼料)の摂取量を低下させることなく、寒冷・疾病ストレスによる子牛の損耗防止対策や、毛づやの改善が期待ができます(図3・4)。
また、その他、哺育舎で気を付けたい5つのポイントを紹介します。適切な子牛管理に努めましょう。
哺乳期の子牛管理のポイント