学生・福祉など、新しい力で営農を支える
営農を支える多様なチカラ

営農を支える学生のチカラ

キーワード:人材確保労働力不足労働力支援労働力確保営農支援
写真1.作業を教える古屋さん
写真1.「このくらいの色になったら収穫していいよ。こっちはまだダメ」と作業を教える古屋さん。ミニトマトの収穫作業は、学生たちにとっては新鮮な体験です。安全性に配慮し機械作業や高所作業は任せないなど、一定のルールを決めて実施しています。
この記事は2025年10月14日に掲載された情報となります。

JA新おたる

 

農協観光が主催する「JA援農支援隊」。学生などのボランティアが農作業を支援するツアーで、2025年で3回目になります。参加した学生と受け入れの生産者に話を聞きました。

 

社会貢献しながら思い出づくり

明治大学のボランティアサークルSHIPに所属している井形光希さんと泉山陸さん(写真2)は今回、9日間のツアーで、仁木町でミニトマト収穫などの農作業を行いました。

 

写真2.神奈川県出身の泉山さんと群馬県出身の井形さん
写真2.神奈川県出身の泉山さん(左)と群馬県出身の井形さん(右)。昨年は井形さんがサークルの案内を見て参加し、「楽しかったから」と、今年は泉山さんたちも誘い、一緒に参加しました。

 

「北海道に来られることが㆒番の魅力。ミニトマトの収穫や葉かき作業は、無心になれて楽しかったです」と井形さん。

泉山さんは「普段、比較的安く買えるミニトマトが、実は大変な手間をかけて作られていることを実感しました」と語ります。

作業終了後は北海道を満喫。「旅行をしながらボランティア活動ができる楽しいツアーなので、サークルの後輩にもぜひ勧めたいです」と2人は笑顔で話してくれました。

受け入れ生産者の古屋真二さん(写真3)は、ハウス10棟でミニトマトを栽培。

 

写真3生産者の古屋さん
写真3.生産者の古屋さんは「2人ともしっかりした考えを持ってボランティアをしていて、若い人たちと話すのは良い刺激になりますね」と笑顔を見せます。

 

収穫ピークは人手不足で、「夫婦とパートさんだけでは、朝から晩まで収穫しても追いつかなかった」と話します。

学生ボランティアを受け入れたことで、作業能率が大きく向上しました。「これまでは収穫作業だけで手㆒杯でしたが、芽かきなど本来やりたかった管理作業にも手が回るようになりました」と手応えを語ります。

 

農繁期の人手不足の打開策に

ミニトマトを生産する農家の多いJ‌A新おたるでは、夏の収穫期における人手不足が深刻です。

そこで、2023年度から農協観光と共に「学生ボランティアサークルを活用した支援」を企画。関東圏の大学生と社会人計11名を受け入れてスタートしました。

翌年度からは少しずつ参加者が増え、2025年度には、59名の学生を11戸の生産者が受け入れました。

募集や調整は農協観光に㆒任し、J‌Aは受け入れのマッチングやサポートを担当。

また、生産者・参加者がより参加しやすくなるように、北農5連J‌A営農サポート協議会の事業を活用しています。

生産者には、賃金を支払う労働者と同じことをボランティアに求めないよう周知し、作業終了時間も当初の17時から16時に短縮しました。

バーベキュー形式の交流会や休日を設定するなど、学生が農作業以外の時間も有意義に過ごせるよう配慮しています。

 

写真4コンテナホテル
写真4.参加者はキッチンや洗濯機などの設備が整ったコンテナホテルに宿泊し、共同生活を楽しみました。

 

担当している営農経済部営農課の島博光課長は、「若いボランティアの力に期待する部分は大きく、今後も継続したい」と話します。

 

|pick up|JA援農支援隊とは|

株式会社 農協観光

募集チラシ
募集チラシ

ツアーの企画、募集、各種手配などを担っている農協観光から、活動の目的や意義を聞きました。

日本の農山漁村では担い手不足が深刻化しています。そこで、繁忙期を中心に無償で農作業をお手伝いする「JA援農支援隊」の企画を始めました。

援農を必要とする地域と、希望する法人・学生を、JAグループの農協観光がマッチング・サポートしています。

参加者の募集は、ボランティアに関心のある学生やサークルを対象に広報しています。

3回目となる今回は、過去の参加者からの紹介やリピーターの参加も増えています。

「社会貢献をしたい」「地域の方と交流したい」といった目的を持ち、見聞を広めたり成長につなげたりしたいと考える意識の高い学生が多く参加しています。

JA新おたる様との取り組みでは、学生の旅費負担を軽減するため、宿泊費・交通費・昼食代の一部をJAや受け入れ生産者が助成。

無償のボランティア活動であるため、今後取り組みを検討するJAには旅費支援があれば学生が参加しやすくなるとお伝えしています。

今後はこの取り組みを全国各地に広げていきたいと考えています。