この記事は2025年9月3日に掲載された情報となります。
ホクレン 農機燃料自動車部 農機自動車課
営農支援センター
これから収穫などの繁忙期を迎えます。安全に作業を進めるためのポイントをいくつか紹介します。
身近で起きている農作業事故
北海道内では毎年10〜20名もの農業者が農作業事故で亡くなられています。
負傷事故にいたっては2023年度も2,200件近く発生し、近年、横ばいに見えますが、農業者数が減っている中で発生割合は増加傾向です(図1)。

北海道農作業安全運動推進本部〜令和5年度農作業事故報告書より
事故が起きると、身体的苦痛はもとより、農作業ができなくなり、減収や離農に結びつくこともあります。
トラクター作業でのチェックポイント
❶安全装備はしっかりしていますか?
転落や転倒事故に備えるには、安全フレームや安全キャブは必須です。
また、ハウス作業などで安全フレームを倒した場合は、倒したままにせず、しっかり立てた状態で走行しましょう。フレームやキャブは転落や転倒時の衝撃を吸収し、安全空間を確保してくれます(図2)。

一般社団法人日本農業機械化協会令和4年度農作業安全総合対策推進事業農作業安全研修資料モデル総合編より
トラクターに乗るときは、ヘルメットとシートベルトを装着しましょう。シートベルトをしていれば、転倒しても助かる可能性が高まります。
❷危険箇所の確認はしていますか?
現場で転落や転倒の可能性がある危険な箇所を確認し、目印を付けたり、草を刈って路肩を見やすくするなどの対策を実施しましょう。また、転落につながりやすい狭い道はう回するか、改良工事などで幅員を確保してください。
道路走行時は、ブレーキペダルを連結し、特にカーブのある道は徐行運転を心がけましょう(図3、4)。


農研機構 農作業安全情報センター イラストで見る事故事例より
コンバイン作業などでのチェックポイント
❶補助作業者との意思疎通をしっかりしていますか?
コンバインは死角の多い農機です(図5)。動かす際は、補助作業者のいる位置を必ず確認しましょう。クラクションを鳴らす、声をかけるなど、しっかりと相互の意思疎通をしてから動かすのが必須です。

農林水産省 令和3年9月に発生した農作業死傷事故より作成
後ろで作業している作業者に気付かず、運転者がコンバインをバックさせ、轢いてしまった事故も発生しています。
❷点検や清掃、手こぎ作業時は注意しましょう!
詰まってしまった際などは、必ず「エンジンを停止」させてから点検・清掃してください。
手こぎ作業は、手袋や軍手、巻き込まれやすいタオルなどは外した適切な服装で行い、「手を機体内に突っ込まない」ことを心がけてください(図6)。

農研機構 農作業安全情報センター イラストで見る事故事例より
❸危険箇所の確認はしていますか?
コンバインでも転落や転倒事故が発生しています。トラクターと同様に、現場で転落や転倒の可能性がある危険な箇所を確認し、対策を実施しましょう。
安全な農作業に向けて取り組んでいきましょう
農作業事故を防ぐには、安全な行動を遵守するよう取り組むのはもちろんですが、それだけでなく事故発生の根本原因となる作業現場の危険源を取り除くことや、取り除けないときは柵を設けたりするなども合わせて行うことが大切です(図7)。
安全な農作業に向け、着実に取り組んでいきましょう。
