この記事は2024年8月13日に掲載された情報となります。
最先端で研究開発を行っている、株式会社クボタと井関農機株式会社の方から、ロボットトラクタの未来をお聞きしました。
人手不足の解決のため遠隔監視型の開発を進める
株式会社クボタ研究開発統括部
技術連携チーム
チーム長 山田 浩平さん
クボタは深刻な人手不足など日本農業の課題解決へ、2017年に目視監視型のロボットトラクタを販売以来、ロボット田植機とロボットコンバインを販売し、日本農業の省人化・無人化をリードしてきました。
更なる進化に、2023年からホクレン訓子府実証農場で「ロボットトラクタと畑作作業機との適応に向けた技術対応」を進めています。
畑作の作業機は種類が多く動きも複雑なため、実際の使い方や作業機のニーズなど、ホクレンからの情報は大変参考になっています。
これを生かし、作業機のスマート化やデータ農業との連携も進めることで、真に役に立つものを開発したいと考えています。
トピックスとして、「安全性確保ガイドライン」に、遠隔監視による自動走行が追加されたことで、ロボットトラクタに圃場1枚を任せている間に有人で別の1枚の作業が可能になり(常時監視は不要)、これまでより格段の省人化が期待できます。
現在は、遠隔監視型のロボットトラクタを2026年頃には皆さんにお届けできるよう、研究開発を加速しています。
課題は、①本機安全機能の強化(特に各種インプル対応)と、②遠隔監視・制御システムの構築(映像や制御信号の長距離伝送、通信品質の安定性、応答性確保)です。
環境面では農道や圃場の通信インフラの整備が課題ですが、行政など関係機関と対応していきたいと考えています。
当社は、さまざまなスマート農業機械やシステムをお届けし、それらが連動するスマート農業一貫体系を構築することで、皆さんの農業経営にトータルに貢献していく所存です。ご期待ください。
酪農現場などでの活用拡大に向け開発に取り組む
井関農機株式会社
トラクタ技術部
参事 村上 達三さん
北海道の農業は、経営耕地面積、農業算出額の全国上位を占める日本農業の重要拠点です。これを維持し、持続可能な農業を進めていくには、スマート農機の広がりがますます重要になっています。
当社は、ホクレン訓子府実証農場での酪農分野におけるロボットトラクタの活用拡大にむけた実証試験に参画しています。
現在販売中のTJV985Rロボットトラクタを用い、酪農現場で求められる作業や作業機への適応、安全性の確保などのロボット化への課題対応に取り組んでいます。
2023年の実証試験は、ホクレン訓子府実証農場の皆さんから現場の声をいただき、各作業を肌で感じながら課題抽出、対応策の織り込みを進めました。
農場の組織・技術・人・地域をつなげる取り組みが、まさに展開できていて、とても有意義なものとなっています。
2024年は、共同作業によるロボット化効果の確認も実施予定で、ホクレン訓子府実証農場での実証結果を大きな糧として実用化を目指しています。
ロボットトラクタは、より多くの作業体系や作業機との適応が喫緊の課題です。また、安心・安全に使えることは最も重要で、効率化と安全を担保したものでなければならないと考えます。
ロボットトラクタは今後、農業経営にしっかりと根付いて活用され、日本農業の未来に寄与し、農業の魅力を伝えていくものと考えています。ロボットトラクタが皆さんに役立つものになるよう、開発に取り組んでいます。
関連記事も合わせてご覧ください。
01.水田作業から実用化が始まっているロボットトラクタ>記事を見る
03.未来に向けた実証試験>記事を見る