「熱中症」知っておきたい5つのポイント

キーワード:気候変動高温高温登熟高温障害
この記事は2024年6月21日に掲載された情報となります。

「熱中症」は、重症化すると命に関わることもあります。暑い時期に作業する時はその対策が欠かせません。熱中症の予防に役立つポイントを紹介します。

監修:JA北海道厚生連 札幌厚生病院 健診センター長 赤池 淳 先生

 

POINT1 体温調節がうまくできないと熱中症に

 

体温調節がうまくできないと熱中症に

 

運動や仕事をすると体の中で熱がつくられ体温が上がりますが、汗をかいたり、体の表面(皮膚)からその熱を外へ逃がすことで体温が下がり、㆒定に保たれます。

しかし、気温や湿度が高い環境などで作業を続けるうち、体の水分や塩分が汗で減ってしまうなどしてその機能がうまく働かなくなって体温が上がり、体の調子が悪くなってしまうのが熱中症です。

 

POINT2 こんな症状がでたら熱中症の恐れ

熱中症の主な症状としては、暑さで血管が広がり、頭に行くはずの血液が減り血圧が下がることでおきる、めまいや立ちくらみ、体内の塩分濃度が下がり筋肉が硬直することでの筋肉痛やこむら返り、そして症状が重くなると発汗に水分補給が追いつかず脱水状態になっての頭痛や吐き気、更には意識障害肝機能、腎機能障害などを起こし、命に関わる事態になることもあります。

 

POINT3 熱中症を起こす条件

温や湿度が高い、日差しが強いなどの「環境」だけでなく、汗をかくなどで熱を逃がし体温を下げる機能が衰えた高齢者や未発達の乳幼児、前日お酒を飲み過ぎた、朝食を抜いたなどの「からだ」の要素、そして、長時間作業や水分補給できないなどの「行動」を加えた三つの要素が熱中症を引き起こす要因となります(図1)。

 

熱中症を引き起こす条件
図1.熱中症を引き起こす条件
環境省「熱中症環境保健マニュアル2022」を参考に作成

 

POINT4 農作業中の熱中症を予防するために

熱中症対策アイテムの活用

熱中症対策アイテムの活用

帽子や吸湿速乾性の衣服の着用、空調服や送風機などを活用する。

 

 

 

 

単独作業は避ける

単独作業は避ける

できるだけ複数名で作業を行い、時間を決めて連絡を取り合う。

 

 

 

 

こまめな休憩と水分補給

こまめな休憩と水分補給

喉の渇きを感じる前に、こまめに水分と塩分を補給する。

 

 

 

 

暑さを避ける 高温時の作業は極力避け、日陰や風通しのよい場所で作業する。

暑さを避ける

高温時の作業は極力避け、日陰や風通しのよい場所で作業する。

 

 

 

 

農林水産省のMAFFアプリで熱中症警戒アラートの通知も受け取れます

 

農林水産省のMAFFアプリ

 

暑さ指数(WBGT)が高くなりそうな日に発出される「熱中症警戒アラート」。

農林水産省のMAFFアプリから登録すると、お住まいの地域のアラートが直接スマホに通知されます。熱中症に対する注意喚起に活用ください。

 

熱中症対策パンフレット
熱中症対策パンフレット
「農作業中の熱中症を予防しましょう」(農林水産省)

熱中症対策パンフレットはこちらからご覧いただけます>パンフレットページへ

 

POINT5 水分や塩分補給の準備をしよう

 

水分や塩分補給の準備をしよう

 

暑い時期はたくさん汗をかくので、水分だけでなく塩分補給も心掛けたいものです※。経口補水液が最適ですが、スポーツドリンクでも良いです。

普通の水では、体内の塩分濃度が下がり、それを上げようとする反応で更に水分が排出されることもあります。汗などの状況によっては注意が必要です。

また、コーヒーや紅茶のカフェインには利尿作用があるので、お茶を飲むなら麦茶がノンカフェインでおすすめです。

なお、麦茶には塩分がわずかしか含まれていないので留意しましょう。塩分は、塩あめなどで補うこともできます※。

※高血圧で塩分を制限されている人などは主治医に相談してください。