この記事は2024年2月1日に掲載された情報となります。
北海道農政部 生産振興局 技術普及課
北海道に本州で実施されているような高温対策を取り入れるかは、まだ知見を重ねる必要があります。現在考えられる対策は、従来の基本栽培技術の励行と、積極的なケイ酸資材の施用による稲体の健全化など(図3)です。このうち、特に重要と考えられる技術対策は次の5項目となります。
(1) 適期移植に向けた作業の見直し
初期生育を確保し、穂揃いの良い稲作りには適期移植が基本です。そのためには苗の老化防止対策が重要です。
また、早期異常出穂抑制対策として、育苗後半の適正な温度管理と適正葉数での移植が大切です。各品種の目標葉数の範囲を遵守できる移植開始日となるように、浸種〜播種〜育苗の作業を見直しましょう。
(2) 本田の適正な水管理
登熟期間は、気象に応じた適切な水管理が重要です(図4)。また、稲が必要とする土壌水分を確保することは品質低下を防ぎます。
このため、中干しで地固めすると共に、溝切りを行い、落水後も必要に応じて走水ができるようにして登熟期後半まで土壌水分を確保しましょう。
(3) 適正施肥、適正籾数の確保
過剰な籾数の着生は、整粒歩合の低下や白未熟粒の発生を助長し、品質を低下させ、タンパク質含有率を高めます(図5)。
適正な籾数を確保した中庸な米づくりを心掛けましょう。このため、ほ場毎の稲の出来を把握し、土壌診断に基づく適正窒素施肥対応を始めとする施肥設計と肥培管理が必要となります。
(4) 倒伏防止対策(ケイ酸施用、病害防除)
倒伏ほ場では、前述の土壌診断による施肥対応と共に稲体を丈夫にするためケイ酸資材を積極的に施用しましょう。
紋枯病、疑似紋枯症や節いもちが見られた倒伏ほ場もあったため、発生状況に応じた防除対策も必要です。
(5) 適期収穫の実施
収穫が遅れた地域では、胴割粒が発生しました。玄米判定時に胴割粒の発生状況(可能であれば軽度・重度なども)に応じた収穫日を検討しましょう。