新技術を実際に試してもらいました!~2022年度施防協モニター試験の結果報告

キーワード:バイオスティミュラント水口処理
カネカ肥料W2
写真1.カネカ肥料W2
この記事は2023年2月1日に掲載された情報となります。

施防協で効果が確認された技術、「バイオスティミュラント資材」と「水稲除草剤の水口処理」をモニター調査。お試しいただいた皆さんにお話をお聞きしました。

ホクレン肥料農薬部 技術普及課

1 生産者の評価を伺う施防協モニター試験

J‌A・ホクレンでは、農業試験場や普及センターなどと連携し、全道各地に施肥防除合理化推進協議会(施防協)を組織、現地試験などで、施肥や防除に関する課題解決に取り組んでいます。これらで確認された二つの新技術(新資材)について、その感想や評価を伺うため、実際に生産者の方々に試していただきました。

2 バイオスティミュラント資材※1「カネカ肥料W2」

カネカ肥料W‌2(写真1)は、酸化型グルタチオン(GSSG)を含んでおり、ストレスを受ける前の植物に与えることで、ストレス低減や各種代謝維持効果を誘導し、植物が本来持つ力を引き出すことが期待される資材です。

2022年は5名の生産者の方に、てん菜、はくさい、キャベツ、玉ねぎ、馬鈴しょで使っていただきました。

それぞれ6月〜8月の間で2〜3回散布した結果についての感想を伺ったところ、てん菜、キャベツ、馬鈴しょでは「収量が多く感じられた」との評価がありました。また、てん菜では「酸性障害に対する緩和効果に可能性を感じた」という意見をいただきました。一方、玉ねぎでは無処理区も豊作傾向であったことから、「無処理区と比較してあまり変わらない」という意見もありました。4名の方からは、次年度もカネカ肥料W‌2を使ってみたいとの感想をいただきました。

※1:バイオスティミュラント資材とは、干害や高温など非生物的ストレスによって植物が受けるダメージを減らし、健全な生育を促す効果が期待される資材。

3 水稲除草剤の「水口処理」

水稲除草剤の省力化技術である水口処理には特別な散布器具は必要なく入水を開始した後、水口に除草剤を処理するだけで全体に拡散。しばらくの間、湛水状態を保てば処理層ができあがります※2(写真2、3)。

薬剤(エンペラー豆つぶ250)投入の様子
写真2.薬剤(エンペラー豆つぶ250)投入の様子
薬剤が水の流れにのって広がる様子
写真3.薬剤が水の流れにのって広がる様子

2022年は5名の生産者の方に水口処理していただきました。薬剤は「ジャスタフロアブル」「エンペラー豆つぶ250」です(写真4、5)。

エンペラー豆つぶ250
写真4.エンペラー豆つぶ250
ジャスタフロアブル
写真5.ジャスタフロアブル

水口処理の感想では、皆さんから「作業時間を短縮できる」との評価をいただきました。また、「散布機械が不要であること」もメリットとしてあげられました。

なお、「入水管理が難しい」との意見もありました。処理時には水位を約5cmに準備しておき2cm以上水位が上がるまで入水するので、普段と違う水管理に対する意見と思います。「効果に不安を感じる」との意見も寄せられましたが、最終的には、普段使用している農薬と同等か、それ以上の除草効果であるとの評価でした。

協力いただいた方々からは、大きな省力化につながる技術で「特に経営面積が大きい人に適している」との意見をいただいています。「前向きに検討」の方も含めると4名の方が次年度以降も水口処理したいという回答でした。

※2:水口処理は均平度が高く水持ちの良い、6時間で5〜6㎝の湛水が可能な水田で行う。かけ流しの水田では避ける。

カネカ肥料W‌2や水稲除草剤の水口処理にご興味のある方は、お近くのJ‌Aにお問い合わせください。ホクレン肥料農薬部では、今後も継続して地域の課題解決に向けた資材試験に取り組んでいきます。