北海道米の安定生産を支える共計・共販

コロナ禍で米穀の販売も難しい局面が続いている中、北海道米の生産や販売に対し共計(共同計算)・共販(共同販売)が果たす役割や重要性が増しています。

この記事は2021年6月1日に掲載された情報となります。

ホクレン 米穀部 米穀総合課

北海道米の全国への販売に役立つ共計・共販の仕組み

北海道米の生産量は全道で年間約55万トンです。方、道内の消費量は約30万トンなので、仮に全ての道民が北海道米だけを食べたとしても、道内では消費しきれず、約25万トンは道外に販売しなくてはなりません(図1)。

北海道米の生産量と道内消費量(2020年産)
図1.北海道米の生産量と道内消費量(2020年産)

道外に販売するには輸送コストがかかります。また、米は作ですが、主食として通年での安定供給が求められます。悪天候や災害などに左右されず、北海道米を消費者に安定的に供給するには、定量を道外消費地の営業倉庫で保管し、不測の事態に備える必要があります。これにもコストが生じます。

そのため、道内で収穫された米を販売しようとする場合、般的には輸送や保管コストで圧倒的に優位な道内に販売が集中します。しかし、それでは過度の競合による価格競争が発生し、結果として米価が下落してしまいます。そうした事態を避け、全国への販売に役立つのが共計・共販の仕組みです。

※農林水産省発表‌2‌0‌2‌0年産水稲収穫量より

安定した生産や販売を支える

共計は、北海道内であれば、誰がどこで生産したお米でも、銘柄や品位等が同であれば、販売先や販売時期に関係なく同じ金額で精算する公平・平等な仕組みです。運賃や保管費用なども共計とすることで、年間を通して全国に販売先が広がり、結果的により多くの北海道米の安定した販売に結び付いています(図2)。

2018年産主食用うるち米持ち込み先別販売実績(ホクレン)
図2. 2018年産主食用うるち米持ち込み先別販売実績(ホクレン)

また、通年での販売のため、販売代金が全て回収されるのはかなり先になりますが、共計を利用することで、収穫したお米をJ‌Aを通じホクレンに出荷した時点で品代(概算金)が生産者に支払われるので、定の収入が確保され安定生産にも役立っています(図3)。

共計におけるお金の流れ(イメージ)
図3.共計におけるお金の流れ(イメージ)

方、共販により全道の集荷数量をまとめることで、大手を含む、全国のユーザーへの販売提案や価格交渉が可能となり、販売先確保や交渉力強化などにもつながっています。なお、商取引に不可欠な債権管理・代金回収、クレーム発生時のユーザーとの交渉などはホクレンが対応し、産地の負担軽減を図っています(図4)。

共計・共販の取り組み
図4.共計・共販の取り組み

共計の運営は、全道各地区の代表者が参加する「共計運営会議」等で決定したルールにのっとって厳格に行われ、定期的な共計運営状況の報告や監査を通じ、適切に管理されています。

共計・共販の更なる活用を

北海道の米づくりを支える共計・共販には、大ロットの需要に応える供給量が不可欠となります。「ゆめぴりか」に代表される北海道米のブランド価値は、安定した数量や品質のお米に対する取引先からの信頼の証しでもあります。これまで生産者の皆さんの努力で築き上げてきた北海道米の価値をこれからも守っていくために、また、産地として、全国の北海道米ユーザーに安定供給していくためにも、共計・共販の更なる活用についてご協力をお願いします。