ホクレン米穀部はJAと共に水稲生産者と直接対話し、販売情勢や省力化技術など最新情報を提供。生産現場の要望や相談をしっかり聞き取ることで、販売拡大など営農をサポートする取り組みを進めています。
この記事は2021年4月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 米穀事業本部 米穀部
米穀事業本部
米穀部 米穀総合課
課長補佐 山下 純俊
JA東旭川 稲作協議会
業務用研究会 代表
柏木 則行さん
JA東旭川
営農販売課 課長
吉原 寿一さん
ホクレン旭川支所
米穀課 主査
駒井 邦彦
ホクレンと産地がしっかり手を結ぶために
ホクレン米穀部はJAの協力を得て、数年前から水稲の生産者と直接対話する取り組みを続けています。これまで米穀の担当職員と生産者が話をする機会は限られていましたが、「ホクレンが持つ情報を生産者の皆さんに役立ててもらいたい。率直なご要望やご意見を聞かせてもらいたい」という思いでスタートしました。
ホクレン米穀部の山下純俊課長補佐はこう話します。
「たとえば新品種『えみまる』は、当初、知名度がいまひとつでした。そこでパールライス部門で『えみまる』の市販用パッケージを作って店頭でPRしつつ、業務用途の実需先にも継続的に品種紹介や提案を進めています。そうした戦略をお伝えしたうえで作付けや出荷先を選んでもらうなど、生産者の皆さんとの連携を深めていきたいと考えています」
米の全国的な販売情勢はもちろん、ニーズの高い品種や販売先などの情報、水管理機器など低コスト・省力化技術の実証試験結果をお伝えするほか、集荷や販売についての個別の相談対応などにも努めています(下表)。
顔の見えるお付き合いを
生産者との対話に力を入れてきたホクレン旭川支所米穀課では駒井邦彦主査がJA東旭川の営農販売課長、吉原寿一さんと3年前から一緒に生産者を回っています。「うちのJAはもともと組合員さんごとに担当職員がいますが、お米に関しては駒井さんも巡回に同行するので、最近はホクレンを身近に感じるようになった人も多いんじゃないかな」と吉原課長。駒井主査も「この地域は親から経営をバトンタッチした若い担い手が多く、水田センサーなどの省力化技術にはすごく関心が高いんですよ」と、地域の状況に理解を深めています。
販売先や契約手法の提案も
実際に対話した生産者の一人であるJA東旭川の業務用研究会の代表、柏木則行さんは言います。
「ホクレンの職員が定期的に顔を出してくれるようになり、青空教室などでもいろんな情報をもらえるのはいいですね。私は『きらら397』と『ななつぼし』を栽培していますが、ホクレンの提案を受け、2019年産から長期安定取引の契約を結びました」
長期安定取引とは、安定供給を望む取引先と産地をマッチングして5年間の売買契約を結ぶこと。地域の生産原価を踏まえ、再生産が可能な価格を設定します。販売環境が良い時も悪い時も作り手と買い手が共に歩んでいこうという仕組みです。柏木さんはJAやホクレンとの関係について、こう語ってくれました。
「今はコロナで特に大変な状況ですけど、私は誰か一人が勝ち抜くような農業はだめだと思うんです。米づくりに必要な水が上流の田んぼから下流の田んぼに流れるように、みんなが米づくりを続けるにはお互いに協力が欠かせません。『隙間を狙って売ればいい』という声を聞いたことがありますが、JAがなくなれば隙間もなくなってしまう。自分のことだけではなく、みんなで協議して前に進めていくことが大事だと思いますよ」
この取り組みの活用を
今はコロナ禍でご自宅を訪問しづらい環境のため、Webを活用したオンライン交流のやり方も現在模索中。ホクレン米穀部の山下課長補佐は「生産者の皆さんのご要望やご相談をしっかり聞いて、できる限り期待に応えたい。ぜひ声をかけてください」と呼びかけています。