新たな自動給水装置「水田farmo(ファーモ)」~令和2年度水稲低コスト省力化生産技術実証試験より

キーワード:スマート農業

自動給水装置「水田farmo(ファーモ)」

稲作の現場ではICT機器への注目が高く、多くの実証試験が行われています。その中でも、操作が簡単で、従来の機器に比べて安価な自動給水装置「水田farmo」が注目を集めています。

この記事は2020年10月1日に掲載された情報となります。

ホクレン 米穀部 米穀総合課

ICT機器類の実証試験が増加

生産者、JA、ホクレン、北海道農産協会、北海道、道総研が連携して実施している水稲低コスト省力化生産技術実証試験。今年は、ICT機器に関する試験数が増加しています。中でも、特に注目を集めているのが新たな機器「水田farmo」です。

安価で操作が簡単

水田farmoは、水位センサーと給水ゲートで構成されているシンプルな水位監視システムです。水位センサーを田んぼに設置し、アプリをスマホにダウンロードするだけですぐ利用が可能。電気工事や配線がなく、生産者自身で設置することができます。設置後はスマホ上で、水位・水温の確認や給水・止水を管理します(図1)。

水田farmoの仕組みと特長
図1.水田farmoの仕組みと特長
※給水ゲートの設置は開水路に限定されます。また、付属ホースが水路の口に合わない場合は別に用意する必要があります。

特長は、本体が従来の自動給水装置に比べて安価なことに加え、通信費はメーカーが負担していてかからないこと。また、アプリの操作が簡単なことも、試験を行っている生産者から評価されています。

北海道の生産者にも好評

北斗市米穀振興会で会長を務める岡田さんも、水田farmoの実証試験に参加している生産者の人。岡田さんは「自宅から離れた田んぼの見回りに毎日約60分掛かっていましたが、水田farmoにより自宅から管理ができ、時間を大きく削減できました。また、定の水位を下回ると自動給水する設定も便利ですし、冷害危険期の水温も把握できるので管理が容易になりました」と話します。

試験中の実証機で手ごたえを感じた岡田さんは、すぐにホクレンを通じて2台購入し、計3台を田んぼに設置しました。岡田さんのケースでは、1年当たり4800分の時間削減につながった計算になります(図2)。

水田farmoの省力化効果(岡田さんのケース)
図2.水田farmoの省力化効果(岡田さんのケース)

水田farmoは全国で導入が進んでいるため、現在在庫を切らしている状況です(2020年8月末時点)。次年度に向けて導入を希望する場合は、お近くのJ‌Aを通じて早めにホクレン各支所へご相談ください。

水田farmoの動画をご覧いただけます。下記アドレスからご覧ください。

メーカーによる水田farmoの自動給水栓の設置ガイド
メーカーによる水田farmoの自動給水栓の設置ガイド https://www.youtube.com/watch?v=vRR4VVDuTgE
北海道内に設置している水田farmoの様子
北海道内に設置している水田farmoの様子 https://youtu.be/wj5mDbMHUsQ

COLUMN
水稲低コスト省力化 生産技術実証試験とは

地域における有効な栽培技術やICT機器の実証と、結果の情報発信を通じて、水稲作付面積の維持・拡大を目指しています。

今年は専用のぼりを設置した試験圃場で268の実証試験を実施しています。

2020年度の試験カ所数
表. 2020年度の試験カ所数