土壌はなぜ問題が起きるんですか?

キーワード:土壌分析土壌改良土壌肥沃度土壌診断土壌調整生育ムラ
土壌はなぜ問題が起きるんですか?
農業機械の大型化による土壌への踏圧増大が根張りの悪化、排水不良が起きる原因になります。
この記事は2026年2月2日に掲載された情報となります。

道総研 中央農業試験場 農業環境部 環境保全グループ 研究主幹 細淵 幸雄さん

道総研 中央農業試験場
農業環境部 環境保全グループ
研究主幹 細淵 幸雄さん

 

生育不良をもたらす土壌の問題には、どのようなものがあるのでしょうか。生育不良となっている土壌の問題と、日ごろの土壌管理の大切さについてお話を伺いました。

 

Q.そもそも「土壌」とは何?

 

A.鉱物に有機物や液体、気体が混じり合ったものです

 

土壌とは、岩石などの鉱物が水や風、生物などの影響で破砕・変質する風化作用を受けてできたものです。有機物のほか液体や気体も混じり合っています。

物理的には「作物自体を支える役割」、化学的には「養水分を提供する役割」、生物的には「微生物など、多様な共生生物が住む場所としての役割」を合わせ持っています。

 

 

Q.どうして作物にとって良くない土壌になるの?

 

A.機械作業や不適切な資材施用、作付けなどが影響します

 

農業機械の大型化で土壌への踏圧が大きくなり、硬い土の層である耕盤層ができやすく、排水不良や逆に干ばつ時は下層からの水分供給制限につながります。土が硬くなると発芽にも影響し、根張りも悪くなります。また、降雨後など土壌水分が多い状態で耕うん作業などを行うと、土がこねられる「練り返し」が起き、乾くと硬くしまって更に物理性が悪化します。

不適切な施肥や有機物施用も、土壌養分に過不足が生じ作物生育に影響します。また、単一の作物を毎年作付けする「連作」でも障害が発生します。連作障害の多くは土壌微生物による土壌病害ですが、特定の養分の不足や養分バランスが悪くなっていることもあります。

我が国は雨量が多いので、雨水とともに土壌養分が下に流れやすく、硝酸化成も加わり土壌pHが低下(酸性化)しやすい環境です。その結果、アルミニウムの活動度が高まり、その障害だけでなくリン酸が固定され肥料効果が低下することもあります。

 

図1.作物にとって良くない土壌になる要因(例)
図1.作物にとって良くない土壌になる要因(例)

 

 

Q.生育不良や障害の要因は?

 

A.物理性、化学性、生物性の要因があります

 

次の3つの要因があります。

●物理性:透排水性が悪化したり土が硬くなったりすることで、根張りや根の呼吸に悪影響が出て、地上部の生育に影響します。

化学性:必須養分の過不足や有害成分の蓄積・溶解などが起こります。

●生物性:作物の生育不良や障害をもたらす病原菌や害虫が土壌に侵入する場合などが挙げられます。

 

 

Q.土壌による生育不良に早く気付くにはどうする?

 

A.圃場の状態を把握してデータ化しましょう

 

まず、自分の圃場がどのような土壌なのか把握しておくことです。次に、栽培中の作物を注意深く観察し、通常とは違う症状などが現れていないか確認すること。更に、これまでの栽培管理履歴をデータ化し可視化しやすくしておくことです。そうすることで、振り返って反省点を見つけることができ、原因の絞り込みもしやすくなります。

 

 

Q.良い土壌をつくるためにどうすればいい?

 

A.「土壌診断基準値」に圃場の状態を近づけましょう

 

北海道では、良好な生育及び収量を得るために、望ましい土壌の物理性及び化学性の基準として北海道施肥ガイドにも掲載している「土壌診断基準値」を設定しています。まずはこの基準値に近づけるよう土壌に手を入れていくことが望ましいです。また、定期的な土壌診断で適正な施肥を行うとともに、有機物施用や心土破砕なども重要です。