土佐の海風が舞う酔鯨酒造の酒蔵で北海道産酒米「吟風」がおいしい日本酒に醸されています。夏限定の「酔鯨 純米吟醸 なつくじら 原酒」。極上の一杯で今年の夏を涼やかに。
この記事は2021年8月1日に掲載された情報となります。
酔鯨酒造株式会社
長浜蔵 製造部 醸造課 藤村 大悟さん
Profile:岡山県出身。「大好きな日本酒を自分で造ってみたい」という思いから、2005年酔鯨酒造株式会社に入社。本文の「和醸良酒」の言葉は酔鯨酒造の味を造った杜氏、土居教治氏から教わり、酒造りの指針にしている。
明治から続く酔鯨酒造
1872年の創業から高知県高知市長浜で酒造りを続ける酔鯨酒造株式会社。現在は四代目社長である大倉広邦氏のもと、長浜蔵と土佐蔵の二カ所を拠点に「酔鯨」ブランドを展開しています。酔鯨酒造が目指す味は「料理と一緒に愉しむ〝食中酒〟」。料理の味わいを損ねることなく、口の中をスッと流れていくキレのいい酸味が特長です。
商品開発に余念がない同社では、2015年に業界でいち早く「夏に愉しむ日本酒」として「酔鯨 純米吟醸 なつくじら 原酒」を発売。この「なつくじら」に使われている酒造好適米が、北海道 新十津川町生まれの「吟風」です。長浜蔵の杜氏、藤村大悟さんに詳しいお話をうかがいました。
北と南を結ぶ和醸良酒
「当社の販売先は東京がメインですが、実は二番目に売れている地域は北海道です。夏酒の開発の時も何か北海道に恩返しができないかと関係者に相談したところ、札幌の酒屋さんをご紹介いただき、そこで名前が上がったのが『吟風』でした」
酒米選びには品質はもちろん、生産量を見込めるかどうかも重要な選択肢の一つです。早速、現地の広大な水田を見学した藤村さんたちは「ここならば」と確信。産地との交流も始まりました。使い始めてからはムラの少ない粒揃いの品質に感服しつつ、味を調整。試行錯誤を経て、濾過(ろか)後一週間以内に瓶詰めすることでフレッシュな香りが立ち上るすっきり辛口の夏酒「なつくじら」が誕生しました。
発売後は市場の評価が高く、購入者も「料理の質を上げるだけでなく、一足す一を十にも百にも底上げし、日本酒と食の両方を存分に愉しませてくれる季節酒」と大絶賛! 酔鯨の夏の風物詩となりました。この実績が土台となり、酔鯨酒造の看板商品「純米吟醸 吟麗」にも2020年出荷分から「吟風」が使われています。
「日本酒の世界には〝和釀良酒(わじょうりょうしゅ)〟という言葉があり、酒造りに関わる全ての人たちとの和があってはじめて良酒が出来上がります。北海道の生産者さんも、その和に欠かせない大事な仲間です。皆さんが『吟風』に託してくださった熱い想いと誇りを受け止めて、僕らはこれからもおいしい日本酒を造り続けます!」