たくさん穫れて病気に強い 「そらきらり(空育195号)」 本格栽培が始まります!

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たくさん穫れて病気に強い「そらきらり(空育195号)」本格栽培が始まります!
写真1. そらきらり試験圃場の様子(右そらきらり、左きらら397、中央農業試験場提供)

 

この記事は2024年2月7日に掲載された情報となります。

ホクレン米穀部 米穀総合課

新品種「そらきらり」の特長や、2023年度全道で実施された普及展示圃による試験栽培結果を紹介します。

 

そらきらりの特長

水稲新品種「空育195号」(アグリポート VOL.43で紹介)は、準公募方式により名称募集を行い、品質評価協議会において名称候補が「そらきらり」に決まり、農林水産省へ出願後、11月2日に出願公表されました。

「そらきらり」の特長は、多収であること、いもち病への抵抗性が強いことです。収量は、「きらら397」 に比べかなり多くなっています。普及を見込む地帯ごとの試験でも、収量性にはほぼ差がなく、道内どこで栽培しても安定した収量が見込めます。

また、いもち病抵抗性は「強」となっており(図1)、本田の薬剤防除が原則不要になり、薬剤コストの削減や防除の省力化が期待でき、収量が多いことと合わせ、収益性向上が見込める品種です。実需者からも、冷凍米飯、牛丼、回転寿司などの用途を中心とした試験結果を踏まえ、総じて使用可能と評価を得ています。

 

図1.いもち病抵抗性
図1.いもち病抵抗性
※写真は本田無防除栽培での様子(道総研提供)

 

 

普及展示圃による試験栽培を全道で展開

写真2. そらきらり普及展示圃の生育状況確認
写真2. そらきらり普及展示圃の生育状況確認

ホクレンでは「そらきらり」の栽培特性や各地域の収量性などを確認いただけるよう、地域の生産者や関係機関の皆さんの協力で、2023年度、全道45カ所の普及展示圃で試験栽培を実施しました。

その結果、記録的な猛暑だったことや、各地の気象条件や土壌、栽培環境などの違いで差はありましたが、「そらきらり」普及展示圃の全道平均反収は690㎏/10aと多収となりました。

各農業試験場内で行われた「水稲奨励品種決定基本調査」においても、上川農業試験場で「きらら397」対比113%(移植標肥)、同123%(移植多肥)、中央農業試験場で「きらら397」対比117%(移植標肥)、同120%(移植多肥)と、記録的猛暑の本年でも「そらきらり」の特性である「多収」傾向が確認されています(表1)。

また、もうつの長所、いもち病への抵抗性については、本年は、いもち病自体の発生がほぼ無い年だったため明確な差は見られなかったものの、生産コストや化学農薬による環境負荷低減が期待できます。

表1. 2023年度そらきらりの収量調査結果
表1. 2023年度そらきらりの収量調査結果 ※普及展示圃は地域固有の栽培取り組み(疎植、密播中苗など)をしたものを含む

 

収量性やいもち病抵抗性などに高い評価

普及展示圃を設置した地区の生産者やJAの皆さんからは、「そらきらり」を栽培して良い点や期待できる点として、「きらら397」より高い収量が見込めることや、いもち病防除が原則必要無いので作業の省力化や薬剤コストを軽減できること、食味が「きらら397」と遜色ないなど、早速「そらきらり」に切り替えたいと希望する地区もありました。

方で、稈長が「きらら397」より長いので倒伏の心配や、収量は多いもののシラタ(白未熟粒など)も多めな玄米品質だったことから、作柄次第では調製歩留まりが低下し、収益性確保に不安があるなどの意見があったものの、今後も継続した試験栽培を行い導入を検討したいとの声が多数ありました。

 

2024年産用の種子は十分に確保

今後の普及が期待される「そらきらり」について、2024年産では3千ha・2万t規模の作付けを目指し、ホクレンでは、種子を十分に用意しています。2024年2月に道総研が作成する「そらきらり栽培マニュアル(仮称)」を参考に、JA、普及センターなどと連携して、適切な栽培技術を実践し、収益確保にお役立てください。

VOL43リンク

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