この記事は2019年4月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 肥料農薬部 技術普及課
POINT!
施防協試験結果から、水稲栽培省力化などに係る肥料や農薬の技術を紹介します。
●水稲側条用せひラクと全層銘柄の組み合わせによる適正施肥
●新たな成分を含んだ水稲の新規初中期一発処理除草剤
JA・ホクレンでは、全道各地区に「施肥防除合理化推進協議会(施防協)」を組織し、施肥や防除に関する課題解決に向け、農業試験場・普及センターなどと連携して現地試験を行っています。
①せひラク銘柄との組み合わせによる適正施肥の効果確認
水稲栽培では、移植時の労力負担が大きい側条施肥の省力化が望まれています。また、リン酸やカリが蓄積した圃場では、土壌診断結果を踏まえて減肥することでコスト低減が図れます。
窒素成分が高く、側条肥料の施肥量を減らせる「せひラクBB側条2527」で省力化を図り(図1)、それで不足するカリ成分を低リン酸高カリの全層銘柄「BB水稲470V」をセットで使って補うことで、リン酸とカリが蓄積した圃場向けの適正な施肥量にすることができます。両銘柄の組み合わせによる効果を確認しました。
❶試験方法
表1のとおり。
❷試験結果
試験区の収量およびタンパクは慣行と同等となりました(図2)。試験区は側条施肥量が約3割減ることで省力化でき、適正施肥(リン酸とカリ減)にもつながりました。
②水稲の新規初中期一発処理 除草剤の効果確認
水稲除草剤の新たな成分「フェンキノトリオン」「イプフェンカルバゾン」を含んだ薬剤が登録認可となり、より効果的な雑草防除が期待できるようになりました(表2)。
そこで、「フェンキノトリオン」を含有するベルーガ、エンペラー、カウントダウン、「イプフェンカルバゾン」を含有するジャイロについて防除効果と薬害、実用性を確認しました。
❶試験方法
供試薬剤:ベルーガ、エンペラー、カウントダウン、ジャイロ
対照薬剤:メガゼータ、バッチリなど(現地慣行薬剤)
❷試験結果(表3)
●除草効果:いずれの薬剤も現地慣行薬剤と比較して同等以上の除草効果が認められました。
●薬害:63試験中2試験で黄化の症状が確認されましたが、その後の生育に影響を及ぼすものではありませんでした。
●実用性:おおむね高い実用性評価が得られました。
※各薬剤の特徴や留意点も踏まえて活用してください(表4)。