この記事は2019年2月1日に掲載された情報となります。
北海道では6カ所で、水稲種子の生産が行われています。そのうち約4分の1を生産するのが、栗沢町水稲採種組合。
良質な種子を安定的に供給するために、JA・ホクレン・農業改良普及センターとの連携や組合員同士の協力のもと、厳格な管理によって生産を続けています。その努力や思いを、組合長の日笠和良さんに聞きました。
栗沢町水稲採種組合
組合長 日笠 和良さん
Profile:昭和43年に栗沢町(現・岩見沢市栗沢町)で組合が発足したのを機に実家が採種農家となる。自身は昭和59年から従事。現在は17.8haの圃場全てを採種圃として生産を行っている。
コンタミ防止・防除の徹底が良質な種子を生む
良質な水稲種子の条件とは、
①異品種や異型(外見が他と異なるもの)の混入がない
②病気がない
③発芽率・発芽勢が高い
ことです。
そのために、私たち採種農家は一般の水稲生産とは異なる工程で栽培しています。
異品種や異型の混入を防ぐために、品種ごとに色の違う杭を立て、生産しています。また、育苗段階で1回、本田の段階で2回、圃場に入って異型の抜き取り作業をします。
また、収穫や乾燥の段階では、異品種が混入しないように、清掃を徹底。いもち病・ばか苗病の防止のためにはフルコース防で対策しています。
また、倒伏させないような施肥管理や、収穫・乾燥段階で籾を損傷させない配慮もしており、常に神経を使う仕事です。
これら全ての工程には、我々組合員の自主検査や道(普及指導員等)の審査が入り、管理を徹底しています。
作業の負担は大きいが、責任とやりがいも
種子生産は、翌年、全道で生産する米の種子を作る、責任とやりがいのある仕事です。その分、異型の抜き取りなどで圃場に入る時間が長いことや、人力作業が多いこと、防除コストがかかるなど苦労もあります。
毎年の生産に当たっては、当組合に指定された品種を組合員ごとに配分したり、人手が必要な本田の異型抜き取りを複数戸で共同で行ったり、翌年の生産に向けて勉強会を行うなど、組合員同士の連携や協力が欠かせないものとなっています。
私たちの組合は今年で51回目の作付け。今後も変わらず後継者にも続けてもらえるよう願っています。