生産現場のカラダケア VOL.3

心と身体を調える “いす坐禅”

キーワード:座禅

不安定な天気やさまざまな人間関係など、何かと気苦労やストレスが多い生産現場。そんな気持ちをケアする手段として、坐禅はいかがでしょう。「坐禅は敷居が高そう…」という方でも大丈夫。「いす坐禅」なら気軽に取り組めます。このいす坐禅について、曹洞宗大真山峯光寺副住職の小野隆見さんにお話をお聞きしました。

この記事は2022年12月1日に掲載された情報となります。

曹洞宗  大真山峯光寺(札幌市東区) 副住職 小野 隆見さん

曹洞宗
大真山峯光寺(札幌市東区)
副住職 小野 隆見さん

いす坐禅は宗派に関わらず、誰でも取り組める手軽な坐禅です。皆さんも生活にいす坐禅を取り入れてみてはいかがでしょうか。

手軽にできる〝いす坐禅〟

「坐禅とは、恐れや不安を含めたあらゆる〈想い〉を手放すことです。未来や過去を手放し『仏』として座り、身体、呼吸、精神を調えましょう」。そう話すのは峯光寺の副住職、小野さん。「いす坐禅」は「いつでも、どこでも気軽に坐禅ができるように」という思いから始まりました。基本的な作法や得られる効果は坐禅と同じです。

「いす坐禅は、蓄積された不安やストレスを和らげる効果があります。できれば、静かで刺激の少ない場所で行うのが良いですが、ちょっとした休憩時でも大丈夫です。時間や人数に決まりはありません。朝と夜に1分ずつでも継続することが大切です」

呼吸と身体感覚で効果を体感

 坐禅を行っても、なかなか集中できない時は「呼吸」と「感覚」に意識を向けることで、不安や迷いといった〈想い〉を坐禅の間、払拭できます。

「痛みといった強い感覚にはよく気が付きますが、地に足がついている感覚や空気が体内を巡る感覚など、微細な感覚にはなかなか気が付かないものです。坐禅では、呼吸や感覚のわずかな変化に集中。意識を今この時、身体に生じる感覚に向けることで余計なことを考えず〈想い〉を手放すことにつなげます」

 いす坐禅を行っても心が落ち着かないことがあるかもしれません。そんな時でも坐禅をする意味は大きいと小野さん。

「いす坐禅を行うことで普段は過去や未来への〈想い〉が離れないまま生活をしていることに気付きます」

いす坐禅カンタン入門

かしこまらずに、まずはトライ!

いす坐禅カンタン入門

●準備① いす、環境
いすの高さは床と腿(もも)が並行になる程度で、座面は硬過ぎず軟らか過ぎないものをご用意ください。

●準備② 身体をほぐす
坐禅の姿勢を調いやすくするために、上半身をほぐします。息を吸いながら肩を持ち上げ、吐きながら下ろしましょう。

身体をほぐす
身体をほぐす

いす坐禅カンタン入門

●準備③ 姿勢
坐骨を意識しながら、足を肩幅に開きます。かかとは少し上げてもいいです。背骨を下から一つひとつ積み上げるイメージで、最後に頭を乗せます。

●準備④ 目線
目線は斜め下、口は閉じ、舌を上あごに付けます。

●準備⑤ 手
手は左手を上にし、軽く組み合わせ、親指を付けて丸形を作ります。

●準備⑥ 身体を揺らす
身体を左右に、徐々に小さくなるように揺らします。自然と動きが止まるところでおさめ、前後も同様に行います。

●坐禅スタート
自然な呼吸をあるがまま味わいましょう。腹式呼吸で行います。さまざまな想いにとらわれず、身体と呼吸の調和を味わいます。

●坐禅終了
手のひらを上にして腿に置き、身体を準備⑥と同じように揺らします。余韻を感じながら、静かに一呼吸。ゆっくり立ち上がったら、日常に戻ります。

いす坐禅で心のデトックスを

 生活を送るうえで避けられない問題や心配を切り離し、心を穏やかに生きていくために、小野さんは坐禅を推奨しています。

 忙しく過ごす人こそ、坐禅で心をケアする必要があるのかもしれません。「生産者の皆さんは、生き物や作物を育てる中で大変なことも多くあると思います。そのような中でも、自らの心を育む時間も大切にしていただければ幸いです」

曹洞宗の公式HP「曹洞禅ネット」
曹洞宗のお寺は全国におよそ1万5千ヶ寺。曹洞宗の公式HP「曹洞禅ネット」では、坐禅のできるお寺を全国検索できます。道内にも40ヶ寺以上あります。 https://www.sotozen-net.or.jp