生産者や地域にとって、結婚相手と出会えないことは農業の存続に関わる課題となっています。その突破口となる婚活・恋活アプリ「あぐりマッチ」が2020年に誕生しました。忙しい生産者でも使いやすく、農業の魅力が伝わる工夫が盛り込まれています。
この記事は2022年2月1日に掲載された情報となります。
株式会社あぐりマッチ
代表取締役 横井 陽大
Profile:東京大学農学部卒。在学中の海外農業研修時に現地の家族の温かさに触れ、日本でもこのような家族を増やしたいと考える。プログラミングを実務経験を積みながら勉強し、アプリを開発。2020年10月に「あぐりマッチ」を運用開始。
北海道の生産者は大人気!
「あぐりマッチ」は、農業生産者との出会いに特化した婚活・恋活マッチングアプリです。現在、全国で約5200人の男女が登録しており、20代から40代以上まで幅広い年代層となっています(図1)。男性は北海道、東北、北陸や関東地方の郊外などの生産者、女性は関東や近畿などの都市部在住の非生産者が多く登録しています。
今回特に皆さんにお知らせしたいのが、北海道の酪農家や大規模生産者の人気が高いということ。農業に興味がある、周りに自然がある暮らしがしたいという人はもちろん、中には実家が農家、酪農ヘルパー経験者など農業の実情を理解して相手を探している人も目立ちます。生産者は男性の登録が圧倒的に多いですが、女性の登録者も1割は生産者です。農業女子が増えていることから、今後女性の登録者も増えることが期待されます。運用が開始されてまだ約1年ですが、結婚に至った報告も届いています。
婚活初心者への配慮も
あぐりマッチの最大の特長は、生産者としての魅力が伝わる仕様。まず、異性の登録者から自分に合う人を探すためのプロフィールは、「農業の形態」「専業か、兼業か」「結婚後の住居は親と同居か」「農業に従事することを相手に求めるか」など、生産者と出会う人が知りたい項目が盛り込まれています(図2)。そのほか、「タイムライン」という機能で、SNSのように日々の投稿をすることができ、農場の風景や作業の一コマなど、プロフィールだけでは伝わらない生産者の日常や人柄を伝えることができます(図3)。
そして、マッチングアプリや婚活が初めてという人へのサポート体制も充実。通常のアプリより機能の説明が多く書かれており、スムーズに操作できます(図4)。また、ありがたいのがアドバイザーの存在。結婚相談所の仲人経験者や、生産者の婚活をサポートしてきた実績を持つアドバイザーが、困った時に相談に応じてくれます。登録はニックネームで行い、外からは個人が特定できない仕様。本人確認書類等はクラウド上に保管しないなど、セキュリティー面でも万全を期しています。
イベントなど機会を豊富に
アプリで「いいね!」を送った相手とマッチングした中で、実際に会っている率は約10%。遠距離でも交際や結婚に至っている人も多いため、アプリ上のやりとりで意気投合したら、早めに会いに行くことをお勧めします。
各地の自治体やJAからの要望で婚活イベントも開催しており、8月に苫小牧で開催したオンラインイベントでは地元の農業男性と道内の女性で参加者全員が希望の相手とマッチングするという結果になり、主催者も驚いています。事前に農業男性向けのオンライン交流会を開催し、初対面の女性と緊張せずに話せるようになったこともプラスに働いたようです(写真1)。
今後も、忙しい生産者でも使いやすく、たくさんのマッチングが生まれるようなサービスを充実させていきます。