カーリングのハーフタイムの休憩は、その後の試合を左右するともいわれます。その過ごし方をロコ・ソラーレの本橋さんに伺いました。
この記事は2020年6月1日に掲載された情報となります。
一般社団法人ロコ・ソラーレ 代表理事 本橋 麻里
Profile:北見市常呂町出身。トリノ五輪、バンクーバー五輪日本代表、平昌五輪銅メダリスト。2018年に選手を休業、一般社団法人ロコ・ソラーレを設立。代表理事としてチーム運営、育成チームのコーチを務める。
平昌五輪では休憩時間が話題に
カーリングでは、アジア選手権、全日本選手権などの公式戦をはじめ年間20近い大会が行われます。大会は室温7〜10℃で、1試合2時間半から3時間、1日に2試合行うこともあり長丁場。平昌五輪でチームキャプテンとして活躍した、北見の女子カーリングチーム「ロコ・ソラーレ」代表理事の本橋さんは「1試合の消費エネルギーは、バレーボールに匹敵するともいわれます。エネルギー補給だけでなく、試合状況に合わせて緊張を解いたり、集中力を高めるためにも休憩時間が必要」と話します。
公式戦では途中、5〜7分のハーフタイムがあり、リンクサイドで休憩。
「平昌五輪で話題になった〝もぐもぐタイム〟は、私たちには当たり前の光景でしたが、意図せず注目されてしまって…(笑)」と当時を振り返ります。
休憩が次へのステップに
ハーフタイムは、主に疲労回復と後半への戦術の確認を行います。例えばブラシで掃き、ストーンをコントロールするスイーパーになる機会が多い鈴木夕湖選手と吉田夕梨花選手は、筋肉の調子や張り具合も意識し脱水症状にならないよう水分を多く摂取。チームの司令塔となるスキップの藤澤五月選手は、温かい飲み物で体が冷えないよう工夫するなど、役割によって体が何を欲するか、選手自身が予測するのも大切です。
また、選手とコーチが接することで後半への軌道修正ができます。平昌五輪でリザーブだった本橋さんは、選手一人ひとりの表情を見て、前半緊張が見られた選手には、クスッと笑えるような言葉をかけるなど精神的な部分でチームを牽引。「ポジティブな言葉を意識して使い、短時間でメンタルスイッチの切り替えを狙いました」と話します。
「私が生まれ育った北見市常呂町では農家さんの〝ハーフタイム〟をよく見かけます。忙しい作業の合間に笑顔でおしゃべりしている様子を見て、ほのぼのとした気持ちに。きっとその後の作業に向けて英気を養っているんでしょうね」
カーリングも農作業も、次に向けた戦略やチームワークが大事。ロコ・ソラーレの皆さんの休憩のとり方には、休憩をその後の作業に生かすヒントがありそうです。