農作業の疲れをためない自分でできる身体ケア

キーワード:ストレッチ⽣産現場のカラダケア農作業
この記事は2024年5月10日に掲載された情報となります。

 

JA北海道厚生連 札幌厚生病院 理学療法技術科 技士長 理学療法士 高山 学さん

JA北海道厚生連 札幌厚生病院
理学療法技術科 技士長
理学療法士 高山 学さん

Profile:理学療法士歴25年。旭川市出身。学生時代は野球部に所属。息子3人も野球を経験し、休日にキャッチボールをすることも。

 

農業を長く続けるためにも気を付けたい身体ケア。道具を使わず、すぐに実践できるストレッチを理学療法士に教えてもらいました。

 

農作業は下半身に負担が集中

農家さんの作業中の姿勢を考えると、おそらくかがんだり中腰になる姿勢が最も多く、腰や膝への負担が大きいと思われます。

同じ姿勢を長時間続けていると、特定の筋肉や関節ばかりが疲れ、そうした疲労が蓄積すると仕事のミスや事故等につながることも少なくありません。

農業を長く健やかに続けていくためにも、ストレッチやマッサージで適時身体をほぐすことをおすすめしています。

そこで今回は、皆さんがその場ですぐにできるような首・腰・膝の簡単ストレッチをご紹介します。疲れてきたなと感じたら、あるいはちょっとした休憩時間にぜひ試してみてください。

急性期は「冷」、慢性期は「温」

当院の患者さんにもよく聞かれるのが湿布のこと。冷やせばいいのか、それとも温めたほうがいいのか、迷う方が多いようです。

基本は、ひねったりぶつけたりして熱を持っている、または腫れている等の急性期の場合は冷湿布。ずっと肩が凝っている、腰が張っているなどの慢性期は温湿布と覚えておくといいでしょう。

温めて筋肉をゆるめることで、押しつぶされて細くなっていた血流の流れが良くなります。

湿布にかぶれたときはすぐ病院へ。今は塗るタイプの湿布もあるので、ご自分に合うものでケアしてください。

 

STEP 1
「ここが大切!」ストレッチ 3つのポイント

ポイント1 「イタ気持ちいい」くらいの頑張りで

無理は禁物。「痛いほど効く」ということはありません。

ポイント2 じわーっとゆっくり、一動作10秒ずつ

伸びを実感しながらゆっくりと。一つの動作に10秒ずつ。

ポイント3 「できそうなときにする」気軽さで

時間や場所にとらわれず、できそうなときにレッツトライ!

知っておきたいこむらがえり

STEP 2
座ってできる おすすめ部位別セルフケア

首

[ 頭を斜めに倒す ]

頭を斜めに倒す
頭を軽くおさえて、手と同じ方向の斜め45度くらいにグーッと押す。反対側の肩は下げます。首から肩にかけての筋が伸びていることを意識して。

 

[ 腕を伸ばして頭を下げる ]

腕を伸ばして頭を下げる1
❶両腕を伸ばし、手を組んで前に引っ張りながら頭を下げる。

 

腕を伸ばして頭を下げる2
❷腕を戻したらそのままゆっくりと胸を張って。肩甲骨まわりの筋肉をほぐします。

 

膝

[ つま先を上に向けて膝裏伸ばし ]

つま先を上に向けて膝裏伸ばし1
❶椅子に浅く腰掛けて片足を伸ばす。つま先を上に向け、膝裏を伸ばします。

 

つま先を上に向けて膝裏伸ばし2
❷つま先を上に向けたまま上体を前に倒して筋肉を伸ばします。

 

腰

[ 片あぐらで前かがみ ]

片あぐらで前かがみ1
❶片足を反対の膝にかける片あぐらの状態で座ります。

 

片あぐらで前かがみ2
❷そのままゆっくり上体を前に倒します。手で膝を抑え、筋肉を伸ばしましょう。

 

余裕があればチャレンジ!<仰向けで片膝を抱える>

仰向けで片膝を抱える
スペースがある時はこちらもおすすめ。片膝を抱えて胸元に近づけます。両足を揃えて一緒に抱えれば、腰まわりのだるさがスッキリ。

 

上級者チャレンジ
余裕がある方にオススメのセルフケア

[ 全身運動スクワット ]

全身運動スクワット
全身運動を実感したい人には、やはりスクワットがおすすめ。椅子に腰掛けるイメージで、膝はつま先より前に出ないように。椅子の背もたれにつかまりながらでもOK!

 

[ 腸腰筋ストレッチ ]

腸腰筋ストレッチ
腰から太腿のつけ根にかけて広がる腸腰筋は、体の深いところにあるインナーマッスル。姿勢を支える大事な筋肉です。片膝で背筋を伸ばし、体重は前方に乗せるイメージで。

 


 

JA北海道厚生連札幌厚生病院
JA北海道厚生連札幌厚生病院
〒060-0033 札幌市中央区北3条東8丁目5
JA北海道厚生連札幌厚生病院の理学療法技術科は理学療法士9名、作業療法士2名、言語療法士1名が所属。