この記事は2017年6月1日に掲載された情報となります。
全国的に注目を集める女性向け作業服ブランド「monkuwa(モンクワ)」。農業の現場を知るデザイナーが機能性とデザイン性を両立させてクリエイトするおしゃれな農作業着が誕生するまでのいきさつを「monkuwa」をデザインする旭川市にある企画会社の渡辺代表に聞いてきました。
株式会社大志企画
代表取締役 渡辺 弘呂志さん
Profile:農機メーカーの作業着や販促用ノベルティの企画・製作を行う会社「大志企画」。
uhb のテレビ番組「タカトシ牧場」のツナギを製作したほか、ミニチュアトラクターやジョンディアグッズの輸入販売も手がけています。
株式会社大志企画
デザイナー 新田翠さん
「モンクワ」ブランドは、新田さんとテキスタイルデザイナー、ふたりの女性がタッグを組んでデザインしています。
いまは2018 年春夏の新作デザインの真っ最中。
旭川発のかわいい農作業着が大人気!
「畑で働く女性は遠目だとみんな年配に見えるんですよ。近づいて『こんなに若い人だったんだ』と驚くのは、着ているものがみんな一緒だからなんだな…と、ずっと疑問に感じていました」
こう話すのは、株式会社大志企画の渡辺弘呂志社長。札幌のアパレル業界で経験を積んだデザイナーがUターンで入社したのをきっかけに、女性向け農作業着ブランド「モンクワ」をスタート。2015年の作業用品の見本市「ツールジャパン」で発表したところ、大きな反響を呼び、取り扱いの依頼が次々と舞い込むようになりました。
現場のニーズから生まれたデザイン
「モンクワ」のアイテムは、幾何学模様のプリント、ニュアンスのある中間色、柄を揃えられるレインポンチョとレインハットなど、これまでなかった斬新なアイデアがいっぱい。デザイン性だけではなくUVカットや吸汗性など機能性を兼ね備えているのも人気の理由です。
「デザインする前には、生産者のニーズをリサーチして、実用性にこだわりました」というデザイナーの新田さん自身も自宅の庭で野菜を育てながら「手袋を入れるポケットがあればいいな」など、実際に体験して気づいた点を盛り込んだそうです。
数多くのアイテムが揃っていますが、人気はお手頃価格のヤッケの上下や着脱しやすいサロペットなど。農業に携わる人だけではなく、ガーデニングが趣味の女性など、幅広い層から人気を集めています。
ファッションで女性を元気に
「畑仕事の帰りにそのままスーパーに寄ったり、保育園に子どもを迎えに行ったりできるようなものにしたかったんです」と新田さんが言う通り、ヤッケパーカーやチュニックシャツは街着にしても違和感ないほどおしゃれ。ダブルガーゼのモンペも、ルームウエアにしたくなるような肌触りのよさ。展示会では「こんなのを探していたの」と、ヤッケの上下を全色買っていった人もいたそうです。
近年、農林水産省が「農業女子プロジェクト」を推進していることもあり、女性向けの農作業服も増えてはいますが、渡辺社長によると「農業を知らない人がつくっているのも少なくない」そう。「デザインはおしゃれでもすぐ破れてしまうものや、風で飛ばされてしまうような浅い帽子など、東京でつくられているものは現場のニーズと合ってないことも多い」と言います。
だからこそ、北海道生まれの「モンクワ」ブランドを大切に育て、農業に貢献していきたいというのが渡辺社長の願いです。「農業はまだまだ男社会で、女性のことは後回しにされてきました。当社がお手伝いできるのはアパレルですけど、ファッションを通じて女性の地位を向上させて、農業シーンをより魅力的に変えていきたい。女性が働きたいと思う業界になってほしい、と思っています」
農作業の現場から生まれたモンクワの機能性