馬鈴しょにおける防除のポイントについて

 この記事は2021年7月13日に掲載された情報となります。
ホクレン肥料農薬部技術普及課より、馬鈴しょにおける防除のポイントについて情報を発信いたします

1.疫病・塊茎腐敗、その総合対策
ばれいしょの安定生産を行う上で、疫病への対策は極めて重要です。疫病にかかると早期に茎葉が枯れることで収量が大きく減少し、更には塊茎に感染すると塊茎腐敗を引き起こし、歩留まりの低下を引き起こすためです。
 疫病は20℃程度でかつ多雨条件で発生が助長され、塊茎腐敗は8月中旬以降に低温多雨条件で、発生が増加する事例が多いです。但し、塊茎腐敗の発生には、疫病の発生が伴いますので、疫病防除と塊茎腐敗防除を継続して行うことが重要です。
また、疫病と塊茎腐敗は同じ病原菌によって引き起こされますが、疫病に効果が高い薬剤でも塊茎腐敗に効果が認められない薬剤もあるため、注意が必要です。特に、塊茎腐敗は、疫病の発生状況や気象条件、土壌条件が複雑に関わっているため、農薬だけに頼らず、複数の対策を組み合わせることも大切です。
(1)抵抗性品種の利用
(2)耕種的防除の導入
ア.枯凋剤やチョッパーによる茎葉処理により地上部を枯死もしくは除去する
(塊茎への菌の感染リスク減少)
イ.好天時に収穫し、十分に乾燥させる(塊茎腐敗の発生には湿度が必要)

 薬剤には予防効果を示すものと治療効果を示すものがありますが、治療効果を示す薬剤といえど、作物に病気の症状が見えてからでは遅く、潜伏期間中に治療剤を散布しなければ、効果が低くなってしまいます。そのため、過度の期待は厳禁です(各病気には症状は出ていなくても感染している期間があり、この期間を潜伏期間と言います)。

疫病初発生期予察システム(FLABS)の情報を活用し、状況に応じて防除の開始時期を検討しましょう

http://www.agri.hro.or.jp/boujosho/flabs/area.html