冬季無加温栽培による野菜の生産普及に向けた取り組み

キーワード:パイプハウス冬季無加温栽培冬野菜
写真1.冬季無加温栽培のために保温装備を強化したパイプハウス
写真1.冬季無加温栽培のために保温装備を強化したパイプハウス
この記事は2023年10月13日に掲載された情報となります。

カテゴリー:生産振興
実施年度:2022~2024年度
対象:JAひがしかわ
実施:旭川支所営農支援室、青果課、生活課、施設資材課
協力関係機関:上川農場試験場、上川農業改良普及センター大雪支所

 

POINT
●冬季無加温栽培の実施による収入の確保
●地域のAコープ、ホクレンショップ店舗における冬季上川産野菜の販売促進

 

コストを削減し、環境にも優しい技術で収入確保

強い経営基盤のためには、麦・大豆など土地利用型作物による安定した収益に加え、施設野菜など高収益作物による所得増大が望まれますが、労働力確保が難しいという課題があります。

上川農業試験場(以下上川農試)では厳寒地域における「無加温野菜の周年栽培技術」を確立。ホクレン旭川支所では、J‌A・関係機関と連携して「労働力を確保しやすく、生産者の収入確保が可能な技術体系」として、冬季野菜作の普及拡大に向けた実証を進めています。

冬季無加温栽培技術は化石燃料を使用しないため、燃料コストを下げ、かつ、環境負荷軽減を目指す「みどりの食料システム戦略」とも合致。また、労働力が必要な品目の生産基盤の維持にもつながります。

パイプハウスの保温装備強化で実現した冬期間の野菜栽培

上川農試の指導の下、J‌Aひがしかわの子会社となる株式会社東川農業振興公社のハウスで、取り組みを実施しました。

冬作では9月末から小松菜・ほうれんそう・チンゲンサイ・リーフレタスを、春作は翌年2月9日に小松菜・ほうれんそう・春菊・からし菜・ラディッシュ・リーフレタスを栽培しました。

冬季無加温栽培のためにパイプハウスは外装2層、内張1層、トンネル1層と保温装備を強化しました(写真1)。これにより外気との差が24℃にもなり、冬でも施設野菜の栽培が可能となります。

実際の栽培では、冬作で発芽直後のほうれんそうが潅水過多による苗立枯病と見られる枯死に見舞われ、チンゲンサイの約半分にナメクジによる食害が発生(写真2)。春作は4月上旬に収穫しましたが、春菊、からし菜などで発芽不良が出ました。

写真2.ナメクジによる食害を受けたチンゲンサイ
写真2.ナメクジによる食害を受けたチンゲンサイ

しかし、上川地区の厳しい冬の寒さでも、冬季無加温で野菜が栽培可能であると確認できました。

地元野菜に対する高いニーズ

地域のAコープ店舗では「特徴ある地場野菜」として特設コーナーを設け販売(写真3)。

写真3.特設コーナーでの販売(写真左:ホクレンショップ東光店 写真右:Aコープはまとんべつ店)
写真3.特設コーナーでの販売(写真左:ホクレンショップ東光店 写真右:Aコープはまとんべつ店)

消費者に向けて説明POPを用意するなど積極的に売り場を展開しました。また、消費者アンケートで、地元野菜に対する高いニーズがあることが、分かりました(図1)。

図1.上川産(地元)野菜についてどう思うか(2023年管内のホクレンショップ、Aコープ調べ)
図1.上川産(地元)野菜についてどう思うか
(2023年管内のホクレンショップ、Aコープ調べ)

冬作の販売は、品質やボリュームが高く評価されたものの、悪天候による来店者減や府県産野菜との価格差などから苦戦。

しかし、春作の販売は、特売の府県産ほうれんそうとの併売になったにもかかわらず、ほぼ完売。全体としては好調でした。店舗での販売実績からも地場野菜に対する高いニーズがうかがえ、今後も継続して販売していきます。

課題を解決し普及へ

冬季無加温野菜栽培には、新たな設備や労働コストが必要なことや、安定収量確保へ向けて更なる実証試験も求められる状況ですが、上川地域技術支援会議の2023年度地域対応課題として設定されており、今後は行政との連携を図りながら上川管内の生産者へ普及拡大を目指していきます。

販売についても消費者のニーズを集約し、「特徴ある地場野菜」としてAコープやホクレンショップの売り場での取り組みを継続して検討するとともに、J‌A・関係機関と連携し冬季無加温栽培の段階的普及を進めていく予定です。