
この記事は2025年7月1日に掲載された情報となります。
ホクレン 農業総合研究所 園芸作物開発課
北海道でも暑熱対策は重要な課題となっています。
2024年度、長沼研究農場では品種能力にも着目し、高温条件下でも収量確保可能なトマト品種の選定を行いました。

試験概要
長沼研究農場トマトハウス1棟において、高温年を想定して7月中旬から8月中旬までの自動側窓開閉設定を25℃とし(その他期間は16℃)、9品種の収量を比較しました。
試験結果
トマトはおおよそ32℃以上に連続遭遇すると着果不良、着色不良、落花などが発生するといわれていますが、図のとおり試験ハウスではそれ以上の環境を再現できました。

※1 連続遭遇で着果不良、着色不良、落花などが発生するといわれている温度
対照の慣行品種Aを一般的な温度管理の慣行ハウスと、高温条件下の試験ハウスで比較すると、表のとおり総着果数の減少が見られました。これは高温による着果不良のためと考えられ、規格内収量も減少しています。

※2 規格外も含めた全ての収穫果数 ※3 果数での割合 ※4 規格内のみの平均値
一方で、「桃太郎ブライト」(タキイ種苗)は総着果数が対照16.7果/株に対し24.3果/株と多く、規格内率も対照36.0%に対し82.2%と高い結果でした(規格外のほとんどは着色不良果)。
この結果、「桃太郎ブライト」は規格内収量も対照2.6t/10aに対し9.3t/10aと平年並みの収量となりました。試験ハウスはやや極端な温度環境としたため、生産現場では大きな効果が期待できると考えられます。
今後の暑熱対策に向けて
暑熱対策としてさまざまな方法が試みられていますが、アグリポートVOL55「施設園芸における外張りフィルムの遮熱効果を比較しました」の記事と合わせて本試験結果も対策の一つとしていただければ幸いです。