強い日差しでトマトやピーマンが日焼けしたり、着果不良になったりと、高温下ではさまざまな障害が起こりがち。真夏の栽培管理のポイントを紹介します。
この記事は2022年6月1日に掲載された情報となります。
北海道農政部生産振興局 技術普及課 主査
浅田 洋平さん
08 遮光資材を活用し、高温障害を防ぐ
気温の高い日が続くと、作物にさまざまな悪影響がおよびます。特に施設園芸の作物は「生育の抑制」「果実のつきが悪くなる」「奇形になる」などの障害が発生(写真5)。マルハナバチの活動も鈍るため人工授粉にも影響が出ます。例えば、ほうれん草は「花芽のついた花茎が伸びる抽苔(ちゅうだい)が早まる」、花き栽培は「計画より早く花が咲く」「葉が黄変する」など品質の低下につながります。
こうした高温障害を防ぐには、太陽の光を物理的に遮る遮光資材が有効です。ハウスの上にかける不織布のネットやシート(写真6)のほか、ハウスに吹き付ける遮光剤など、さまざまな方法があります。ただし、曇天が続く時に遮光したままだと日照不足になる危険性もあり、天気に応じた調整が必要です。
風通しを良くする換気装置、霧状の水を散布し気化熱でハウス内を冷やす細霧冷房や、屋根散水(写真7)の活用などで農作物を日差しと高温から守りましょう。
屋根上に散水チューブを設置し散水する。遮光資材を併用すると効果的。
09 病害虫は早期発見と適期防除
温度が高くなるにつれ害虫が多発し、ハウスの側窓を開けると虫が入りやすくなります。一方で、防虫ネットをすると風通しが悪くなる心配もあります。まずは、ハウス周辺の除草など環境整備を徹底。発生予察情報をこまめに確認して、数が少ないうちの防除を心掛けてください。特にハダニ類やアザミウマ類は高温で多発しやすいので、早期の発見と防除に努めましょう。
農薬散布に適しているのは夕方の涼しい時間帯です。朝に散布すると薬剤が乾かないうちに昼に向かって温度が上がるので、薬害が生じやすくなります。
センサー付きの自動巻き上げ装置(写真8)など省力化技術も上手に活用して、きめ細かな管理を目指しましょう。
高温により発生するさまざまな障害を防ぐには太陽の光を遮断。更に、換気を良くするなど温度を物理的に下げる必要があります。