ハウス内の環境をモニタリングする装置「みどりクラウド」を試験導入した平取町の福澤孝彦さん。具体的な活用方法や、実際に使って実感したメリットを聞きました。
この記事は2021年10月1日に掲載された情報となります。
多すぎず少なすぎず、ちょうど良い水分量をコントロールできます
平取町 福澤 孝彦さん
Profile:24棟のハウスで大玉トマト「桃太郎ネクスト」を栽培。パートは雇用せず、福澤さんと妻、両親の家族4人で管理しています。
ハウスの様子をスマホで確認
平取町のトマト農家、福澤孝彦さんは北海道が実施する調査への協力を依頼され、2019年に24棟あるハウスの1棟に「みどりクラウド(株式会社セラク)」を設置しました。
みどりクラウドはセンサーで温度、湿度、日射量、二酸化炭素(炭酸ガス)濃度、土壌水分、地温などを測定する装置。2分間隔でデータをクラウド上に蓄積します。
「自宅と圃場が少し離れているので、モニタリング装置には興味があった」と話す福澤さん。特に温度、日射量、土壌水分をこまめにスマホで確認していると言います。
「気になる項目を選んで重ね合わせてグラフを表示できるので、日射量やハウス内温度の上がり方、トマトの水分の吸い方の相関が把握できる。多すぎず少なすぎず、ちょうど良い量の水をあげられます」
多い時は1日に5〜6回、スマホでみどりクラウドのデータを確認します。日差しが強すぎると葉も実も焼けてしまうので、外出先でも数値をチェックして家族に「遮光しておいて」と電話で頼むこともあるそうです。
データ共有で地域の底上げ
みどりクラウドの測定データは全て蓄積されるため、自分の栽培管理を振り返ることができる点も気に入っています。
「生育があまり良くない時や、トマトの形が悪い時は、スマホで直近の測定値をさかのぼり、改善点や反省点を考えられます。カメラの画像も残っているので、生育の過程も確認できるのがいいですね」
個人的に利用するだけではなく、仲間や部会などでデータを共有すれば、活用の幅が更に広がると福澤さんは考えています。
「例えばベテラン農家さんのデータをみんなが自分のスマホから見られるようにして、こういう天気ではどうしてるんだろうとか、情報交換ができればいいですよね。地域の栽培技術の底上げにもつながるかなと思います」
みどりクラウドの導入には費用がかかりますが「あるのとないのとでは仕事の仕方が大きく変わってくる」と福澤さん。将来はモニタリング機器と連動させて、潅水や換気を自動で制御できるようになれば、と期待を寄せています。
→ここが変わった!
土壌水分をコントロールできる
みどりクラウドでは潅水後、土壌水分量が上がり、その後、徐々に減っていく様子がグラフで見えます。水分の動きを参考に潅水を調節。夜間の水分量をある程度一定にコントロールできるようになりました。みどりクラウドの調査協力を依頼した日高農業改良普及センターの福原比奈子さん(写真右)はその数値をチェック。次の展開へ向けて検証を行っています。
→ここが変わった!
ハウス内温度がいつでも分かる
春先は暖房機が動いているのか心配で夜中にハウスを見に来ることがあった福澤さん。みどりクラウドではスマホで温度を確認できるほか、一定温度を下回ると警報が鳴るように設定。カメラでハウス内の様子も見られるので、天候の急変時に慌ててハウスに走ることもなくなりました。