「食育」を通じ北海道産砂糖への理解促進と消費拡大へ

キーワード:消費拡大食育
ぜんざいの原料である砂糖、てん菜について説明
写真3. ぜんざいの原料である砂糖、てん菜について説明

将来を担う北海道の子どもたちにてん菜や砂糖を知ってもらい、その大切さを伝える取り組みを行っています。

この記事は2022年12月1日に掲載された情報となります。

ホクレンてん菜業務部 てん菜業務課

砂糖以外の甘味料増加などで砂糖の消費が減少傾向

北海道産の砂糖は、国内では北海道だけで栽培されるてん菜から作られています。原料のてん菜は輪作に欠かせない作物であると同時に、道内に8カ所ある製糖工場は地域の経済を支える存在にもなっています。

砂糖の用途は、家庭用が約1割で、多くは業務用として菓子類や清涼飲料、パン類などに使われており、昔から甘味料の中心を担ってきました。しかし、現在、異性化糖や加糖調整品、高甘味度人工甘味料※1など、砂糖以外の甘味料が増加し、甘味料全体の消費は微減なのに対し、砂糖の消費は減少が続いています。また、直近ではコロナ禍による消費減退の影響も大きく受けています。

※1 異性化糖〜ブドウ糖と果糖を主成分とする液状糖、清涼飲料などに使われる。加糖調整品〜砂糖に他の食品素材を混合した食品加工用原料、ほぼ輸入品でコストを抑えるため使われる。高甘味度人工甘味料〜化学合成により作られる甘味料、砂糖の数百倍の甘さで低カロリー食品などに使われる。
国内の一人当たり甘味需要量の内訳(2019年)※統計資料からホクレンにて作成
図1. 国内の一人当たり甘味需要量の内訳(2019年) ※統計資料からホクレンにて作成

砂糖消費拡大への取り組み

国産の砂糖は約8割を占める道産のてん菜糖と、鹿児島県や沖縄県でさとうきびから作られる甘しゃ糖ですが、安価な海外産との価格差を埋めるため、輸入糖(粗糖)から調整金を徴収し国産糖に交付する糖価調整制度によって国内に流通しています(図2)。砂糖消費が減り輸入糖の割合が減ることで、調整金収支悪化や制度の安定運営も懸念される状況になっており、砂糖消費の拡大が急務となっています。

砂糖の価格調整制度の仕組みと国産糖と輸入糖の供給量(2020年)
図2. 砂糖の価格調整制度の仕組みと国産糖と輸入糖の供給量(2020年) ※農畜産業振興機構資料、令和4砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)(農林水産省2022年)より作成

砂糖の国内消費拡大を図るため、J‌Aグループ北海道では、2019年から「天下糖プロジェクト」を実施し、ポータルサイト(図3)やイベント、セミナー開催など、砂糖の機能や良さを伝え、イメージアップを図る活動を始めています。

天下糖一プロジェクトのポータルサイト
図3. 天下糖一プロジェクトのポータルサイト

将来を担う子どもたちへの食育活動を推進

また、てん菜をはじめ、北海道の農産物生産と消費が安定して続いていくには、まず、北海道の農業や農産物についてもっと知り、理解してもらうことが大切です。特に、将来を担う子どもたちにそうした機会を提供することは、食育の面からも重要です。

そこで、昨年、国の事業を活用し、全道の小中学校、特別支援学校の児童や生徒約15万人(全道の約4割)に、北海道産の砂糖と小豆を使用したデザート「あずきゼリー」の学校給食への無償提供を行いました。教育関係機関の皆さんからは、普段子どもたちが食べる機会の少ない「和」のデザートで、かつ道産農産物を原料とした食材の提供に評価をいただくとともに、砂糖や小豆に対する理解を深める取り組みが各学校で実施されました(写真1)。

2021年度「あずきゼリー」の材料となる農産物への理解を深める取り組み例
写真1. 2021年度「あずきゼリー」の材料となる農産物への理解を深める取り組み例

2022年度もこの取り組みを継続、かつ拡大し、9月20日から約1カ月にわたる期間で、全道の児童、生徒の約6割に当たる約21万人に北海道産砂糖と小豆を使用した道産原料100%のデザート「ぜんざい」の無償提供を行いました(写真2、3、4)※2。子どもたちへの食育活動に継続的に取り組むことで、北海道のてん菜や砂糖、そして北海道の農業や農産物に関する理解を育み消費拡大を図っていきたいと考えています。

※2 今回のデザート提供は、「国産農林水産物等販路新規開拓緊急対策事業」を活用し、北海道農政部、北海道教育庁、札幌市教育委員会、市町村教育委員会、北海道学校給食会のご協力のもと、ホクレンが事業実施者となり実施しています。
2022年度、学校給食に提供した「ぜんざい」
写真2. 2022年度、学校給食に提供した「ぜんざい」

ぜんざいを食べる子どもたち
写真4. ぜんざいを食べる子どもたち