ハトムギの安定生産に向けた取り組み

ハトムギ
写真1. ハトムギ

カテゴリー:生産振興
実施年度:2020~2021年度
対象:JAたいせつ
実施:旭川支所営農支援室
協力関係機関:上川農業改良普及センター

POINT
●転作作物としてのハトムギ栽培

●播種適期の確認と緩効性肥料による省力化を検討

この記事は2022年11月1日に掲載された情報となります。

転作作物としてハトムギに着目

近年、健康ブームで注目のハトムギは、国内需要量の約8割が輸入されていますが、より付加価値を高めるため国内での安定生産が求められています。

JAたいせつでは、湿害に強く転作作物としても有望なハトムギについて、収量の安定化を課題に300kg/10aを目標として、試験栽培に取り組んでおり(写真1)、将来的に作付面積の拡大やハトムギ産地としての確立が期待されています。

2021年度も継続して調査

2020年度は、播種適期の検討をしましたが、その結果5月10日前後が良いということが分かってきました。2021年度は播種時期をやや早めた試験(4月28日播種)を実施し、慣行栽培(5月7日播種)と比較しました。播種時期を早めても、生育・収量に大きな差がなかったことから、他作物の作業進捗状況に応じて4月末からの播種も可能であることが示唆されました(表1)。

播種適期確認試験(2021年度)
表1. 播種適期確認試験(2021年度)

慣行栽培では7 月中旬に追肥作業をしますが、省力化に向けて、緩効性肥料Dds483を基肥として施用し、追肥なしで栽培しました。その結果、単年度の実績ではあるものの目標とした300 ㎏ /10aを超える収量を確保できたことから、緩効性肥料を用いた省力化栽培の有効性が示唆されました(表2)。

緩効性肥料効果確認(2021年度)
表2. 緩効性肥料効果確認(2021年度)

ハトムギ生産体制確立を目指す

これまでの試験栽培をベースに2021年3月11日「JAたいせつハトムギ生産部会」の設立総会を開催しました。

これは、生産者・JA・関係団体が連携してハトムギ生産と収量の安定化、品質の高位平準化を目指すもので、30ha規模への拡大を計画しています。

ハトムギを原料にグラノーラやティーバッグなど新たな加工品のほか、品質向上を前提に生薬や化粧品原料としての活用も検討されており、研修会の開催などで地域に適した栽培技術を確立し、ハトムギ生産体制の構築を目指します。