飼料

飼料用トウモロコシの播種深度を確認しましょう

この記事は2021年4月1日に掲載された情報となります。

ホクレン 畜産生産部 自給飼料課

POINT
●良質な自給飼料の安定確保には、播種の深さが重要です。

近年は播種時期に圃場が乾燥していることが多い

道内3カ所のアメダス地点について、直近5カ年の4、5月の月平均気温と降水量を平年値と比較したところ(表1)、気温が高く、少雨傾向となっています。近年は降雪量も少ない傾向が続いているため、融雪水が少なく、播種時期の圃場が乾燥状態となり発芽障害が発生しやすい状況が見られます。

道内各地点の過去5カ年(2016~2020年)月別平均気温、降水量と平年値との比較
表1.道内各地点の過去5カ年(2016~2020年)月別平均気温、降水量と平年値との比較

適切な播種深度が重要

発芽不良や生育のばらつき(図1)には、播種深度も大きく関係しています。

発芽や生育のばらつき(イメージ)
図1.発芽や生育のばらつき(イメージ) パイオニアエコサイエンス株式会社提供の図より作成

トウモロコシの良好な生育には、播種深度は浅すぎても深すぎても良くなく、般的に3〜5cmが適切とされています。また、土壌条件や気象条件、播種時期によっても深度を調整する必要があります。

播種深度を深くする場合

地温が高い場合や播種時期が遅くなる場合は、圃場が乾燥している傾向にあるので播種深度は深め(5cm程度)が望ましく(写真1)、砕土が不十分で土塊が多い時も深めをおすすめします。

乾燥した土壌での播種。
写真1.乾燥した土壌での播種。乾燥した土壌条件では播種深度を深く設定し、播種後にローラーで鎮圧するのがよい。

しかし、播種深度が深くなりすぎると出芽に時間がかかり、ばらつきも生じやすくなります(写真2・3)。特に低温や過湿時には種子の活性が低下しやすいので注意が必要です。また、同じ播種深度でも土壌の通気性や排水性は畑により異なるので出芽率や初期生育に差が出ることもあります。

写真2.土塊が多いことにより出芽が遅れた例
播種深度が深すぎた例。
写真3.播種深度が深すぎた例。出芽がばらつき草丈や生育にムラがある。欠株が目立つ場合も。畝で差がある場合はプランターの設定が適してなかった可能性が高い。

播種深度を浅くする場合

土壌水分が高く、地温が低い場合や播種時期が早い場合は播種深度を浅め(3㎝程度)にする方が良いです。

しかし、播種深度が浅すぎる(2cm未満)と乾燥した土壌で正常に永久根が発達できず幼苗が倒れる「根無しトウモロコシ」(写真4)と呼ばれる症状を起こす場合があるので注意してください。

根無しトウモロコシになった例
写真4.根無しトウモロコシになった例

プランターによっては浅くなりやすいことも

近年海外から導入されているプランターは土中貫入力が高いものが多く、どのような土壌条件でも播種深度の確保は比較的容易ですが、従来の軽量タイプのプランターは土中貫入力があまり高くなく、播種深度が浅くなる傾向があります。

土壌が湿っている場合はそれほど問題ありませんが、播種深度が浅くなることで、近年の乾燥傾向の気候と相まって種子への水分供給がうまくいかない場合があります。軽量タイプを使用される場合は、特に十分な播種深度確保にご注意ください。

必ず播種深度の確認を

播種深度を調整する際は、実際にプランターで播種を行い、種子の深さを確認することが大切です。 播種深度は走行スピードが早いと不安定になりやすいので、スピードの出し過ぎにご注意ください。