カテゴリー:実証試験
実施年度:2018~2021年度 対象:JAるもい
実施:留萌支所営農支援室
協力関係機関:留萌農業改良普及センター、留萌振興局
POINT
●簡易暗きょ(カットドレーン)施工による土壌排水性改善
この記事は2022年4月1日に掲載された情報となります。
留萌管内の畑作における課題
留萌管内では水田転作畑の畑作物として小麦および大豆が栽培されています。しかし透排水性不良の圃場が多い状況に加えて、近年の長雨や突発的な豪雨による滞水がみられる場合が多く、湿害が収量低下につながることもあります。このことから、土壌の排水性の改善に取り組むことにしました。なお、畑作物の生産性向上については重要課題として「留萌地域農業技術支援会議」の主要テーマにもなっています。
カットドレーン施工による排水性改善を検証
排水性の向上を目的として、穿孔(せんこう)暗きょ機である「カットドレーン」の施工効果の検証を試みました(写真1〜3)。対象圃場は2圃場で、大豆播種前の春施工と秋播き小麦播種前の秋施工を行いました。
![カットドレーン施工の様子①](https://agriport.jp/wp-content/uploads/2022/11/c105a0cc08eee01922c35104ac32857a-1-e1668491884557-1024x640.jpg)
![カットドレーン施工の様子②](https://agriport.jp/wp-content/uploads/2022/11/3c2eb5c1c54b348932ebe3ec33a1380a-1-e1668491901186-1024x640.jpg)
![カットドレーン施工による溝](https://agriport.jp/wp-content/uploads/2022/11/2485014e20e34fb04dcdba3628c1891b-1-e1668491931765-1024x640.jpg)
カットドレーンの効果を確認
2018年は、大豆播種後の干ばつや7月上旬の豪雨(平年比6倍超)など、生育への悪影響が懸念されました。しかし、水はけが悪い圃場でもカットドレーンを施工した部分では、滞水による湿害のような症状は見られず、順調な生育となり収量や粒大も無施工区に比べて優れる結果となりました(図1〜3)。なお、同圃場の施工区の土壌水分を調べてみたところ、深さ0〜30cmの土壌で無施工区に比べて低く、土壌排水性改善の効果を生産者とともに実感しました。
![大豆栽培におけるカットドレーン施工区・無施工区の生育推移](https://agriport.jp/wp-content/uploads/2022/11/795316b92fc766b0181f6fef074f03fa-38-1024x540.png)
![大豆栽培におけるカットドレーン施工区・無施工区の粒度分布](https://agriport.jp/wp-content/uploads/2022/11/2b530e80c7d0de90885e285c5d798063-25-1024x591.png)
![大豆栽培におけるカットドレーン施工区・無施工区の収量・百粒重](https://agriport.jp/wp-content/uploads/2022/11/c8856789ec11ab8b1013037cef6929f9-10-1024x550.png)
また、秋播き小麦圃場においても施工区の排水性の改善が確認できました(写真4)。
![無施工区](https://agriport.jp/wp-content/uploads/2022/11/f55b6d6b6a35fd8b851934f7d214c745-1-e1668492213527-1024x640.jpg)
今後の普及に向けて
今回の取り組みによりカットドレーン施工による効果が確認できました。ただし、圃揚条件によっては十分な深さでの施工が困難な事例が発生するなどの課題も確認できたことから、そうしたことも踏まえながら、管内への普及を図っていく考えです。