カテゴリー:実証試験
実施年度:2018~2020年度
対象:JA士幌町、JA本別町
実施:帯広支所営農支援室
協力関係機関:十勝農業改良普及センター、株式会社ビコンジャパン、三菱農機販売株式会社
POINT
●ISOBUS対応真空播種機による高精度播種
●収量増加を目指した小豆の適正な栽植密度を確認
この記事は2022年2月1日に掲載された情報となります。
精度の高い播種機の使用で小豆の安定生産へ
近年、小豆は年によって作柄が変動しており、より安定的な生産が求められています。このような中、十勝管内では、作業性に優れ播種精度の高い真空播種機に注目しています。
試験で使用した大型真空播種機(写真1)は、播種ユニット(6畦)を油圧で動かせるため、畝間(うねま)を45〜80㎝の間で、㎝単位で変えられます。また、ISOBUS(トラクターと作業機が情報を送受信するための通信規格)により播種位置をユニットごとに高精度で制御できます。
そこで、小豆を対象に慣行栽培の畦間(60㎝)のまま株間を変えて播種、その収量性を確認しました。
3カ年の現地試験で適正な栽植密度を確認
2018〜2020年の3カ年(2018・2019年は士幌町、2020年は本別町)にわたって、JAや関係機関と連携し、真空播種機を用いた試験を行いました(写真2)。
2018・2019年は天候の影響により参考程度の結果となりましたが、10a当たりの栽植本数を密植栽培により増やすことで収量増加が期待できる結果となりました。
2020年の結果では、栽植密度25000本/10aで製品収量が慣行に比べ108%となり、1㎡当たりの莢(さや)数が多く百粒重が多くなりました。一方で、栽植密度が高い30000本/10aでは、慣行より収量は多かったものの、25000本/10aと比べると製品収量がやや劣る結果となりました(図1)。
これらのことから、真空播種機での単粒播種による密植栽培では、約25000本/10aが適正であると考えられ、必要以上に栽植密度を高めても増収しないことを確認。ただし、倒伏が懸念される圃場では、栽植密度の増加は注意が必要です。
また、今回使用した大型真空播種機は、設定した栽植密度に対し正確に播種できることを確認しました。更に、トラクターを8㎞/hで走行しても安定して播種できるため、播種作業時間を短縮することも確認できました。
多品目で試験を実施中
ホクレンではJAなどと連携し、小豆以外にも金時豆や飼料用とうもろこしを対象に、真空播種機を活用した栽培法に関する試験に取り組んでいます。ISOBUS対応の真空播種機といったスマート農業技術を活用した作業機の普及により、多品目で収量性向上や作付け規模拡大の一助となることを目指しています。