北海道産小麦の中でも製麺適性の高い品種「きたほなみ」。そのおいしさを引き出す老舗メーカー、マルナカの乾麺シリーズは四季を通じて道民定番の味。台所になくてはならない存在です。
この記事は2022年6月1日に掲載された情報となります。
株式会社マルナカ
代表取締役 村上 和吉さん
Profile:家業を継いで2002年に株式会社マルナカ代表取締役に就任。長さ36センチの長い麺シリーズや方言を使った「ぺったらこいうどん」等の新製品を送り出すアイデアマンでもある。
乾麺一筋もうすぐ90年
台所の頼もしい常備食材、乾麺を作り続けて89年。創業者の村上禮吉(れいきち)氏が1933年に「中瀬」姓の奉公先から屋号ごと事業を譲り受けて開業した「マルナカ」は、現在三代目社長に村上和吉さんが就任。江別市の本社工場から日々、ホクレンや自社ブランド製品を送り出しています。
「乾麺という商品の特性上、おいしさの秘訣は製粉会社から届いた小麦に塩水を配合して練った後の乾燥工程にあります。当社の場合、乾燥は四段階。最初の〈足どめ乾燥〉で麺生地(めんきじ)に含まれた表面上の水分を一気に抜きます。そこで余計な水分が残っていると、その後の工程の中で麺が徐々に下に伸び、太さにバラつきが出てしまいます」と村上社長がそのこだわりを解説してくれました。
続く〈予備乾燥〉〈本乾燥〉を経て〈仕上げ乾燥〉が終わった後もすぐに梱包・出荷せず、一日以上寝かせて状態を見守るのもマルナカ流。細心の品質チェックを欠かさない同社の姿勢を表しています。
主力商品のうどんのほかに、これからの季節に出番が多くなるそうめんやひやむぎも取りそろえ、麺の種類ごとに製粉条件や練り方を変えて、ベストなおいしさを追求しています。
味も滑りも申し分なし!
そんな同社の主原料は、北海道産小麦の「きたほなみ」。歴代の道産小麦の特長を知り尽くす村上社長が太鼓判を押す品種です。
「北海道産小麦の転換期を作ったのはチホクコムギですが、その後のホクシンを経て2006年に誕生した『きたほなみ』は水なじみが良くて製麺適性が高い。我々乾麺メーカーにとって、北海道産小麦の決定版のようなもの。きれいな黄色みがかった見た目も良く、歯切れも抜群。何より麺を口に入れた時の滑りが良くて、申し分のないおいしさです」
北海道産小麦の主力品種の変遷を受け入れながら歩んできたマルナカの89年は、生産者とともに歩んできた道のりでもありました。「国産小麦といえば北海道の『きたほなみ』、そういわれる日が待ち遠しいですよね」。村上社長の夢は生産者の夢でもあります。小麦を介した作り手たちの二人三脚はこれからも続きます。