輸出で将来の選択肢を探る

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写真1北海道フェア
写真1.北海道産の野菜や果物を供給し、シンガポールのドン・キホーテで開催された「北海道フェア」
この記事は2025年10月1日に掲載された情報となります。

種苗園芸部_野菜果実花き課

ホクレン 種苗園芸部
次長 浅川 崇(右)
野菜果実花き課
考査役 藤塚 弘樹(左)

 

鮮度が勝負の野菜や果物を海外へ向けて販売するのはなぜでしょうか。今後、輸出が期待できる品目についても聞きました。

 

POINT

●青果の輸出は調査と挑戦の段階。。

●輸送時の鮮度保持技術は未確立。

●さつまいもは海外のニーズも高い。

 

選択肢の一つとしての輸出

—輸出されている青果の品目は?

青果で輸出できる品目は限られており、現在は玉ねぎと長いもが中心です。国内の需給バランスを見ながら、輸出の可能性についても検討しています。

特に玉ねぎの場合は全道の玉ねぎ産地で話し合って輸出量を決めており、国内外トータルで、年産の安定販売を目指しています。

—輸出ならではの難しさとは?

認証ルールや検疫が国によって異なるため、認証の取得や栽培履歴、残留農薬の検査などに気を遣います。また、鮮度保持のため冷蔵輸送が不可欠で、輸送日数の変動や遅延による品質の劣化も課題です。

温度管理ができるリーファーコンテナにキャベツやスイートコーン、メロンなどを混載する輸送試験にもトライしています。ただ、品目によって適した温度帯が異なるため、鮮度を保持して確実に輸送する方法が、まだ確立できていません。

—輸出は今後、どうなりますか?

ゆり根や、さつまいもは海外から引き合いが多く、優位性のある品目かもしれません。

ホクレンでは2022年からさつまいもの生産振興に取り組み、洗浄・選別・貯蔵・出荷まで、協業先の設備を活用して一元的に取り進めています。生産技術の向上にも力を入れ、北海道の主要産品としての定着を目指しています。

日本のような甘いさつまいもは海外にないため、近年タイやシンガポール、香港などではジャパニーズスイートポテトとして、焼きいも人気が高まっています。

今後、生産量が増え、長距離輸送の課題をクリアできれば、国内流通だけではなく輸出品目としても有望だと考えています。

 

写真2東南アジア向けさつまいもの輸出用パッケージ
写真2.アニメデザインを採用した、東南アジア向けさつまいもの輸出用パッケージ