この記事は2025年2月14日に掲載された情報となります。
ホクレン 農業総合研究所 園芸作物開発課
ホクレン長沼研究農場では省力化の観点から、機械収穫に適性のあるスイートコーンの品種開発に取り組んでいます。その中で機械収穫適性が高いと判断された「恵味スタンド88」についてご紹介します。
機械収穫に着目
北海道では、農業の大規模化および労働力不足により、特に野菜の作付面積が年々減少しています。
今回紹介するスイートコーンも、主要地区のホクレン旭川支所管内をはじめとして作付面積が減少している背景があります(図1)。

(ホクレン種苗園芸部 青果物出回調査結果より引用)
その解決策の㆒つに、機械による収穫があります。将来的にもニーズが増加すると考え、当課と旭川支所で協議のうえ、機械収穫が可能で作付面積の大きいスイートコーンを対象に、品種開発が始まりました。
機械収穫に求められること
スイートコーンを機械収穫するうえで最も重要なことは「倒伏していない」こと。
倒伏したスイートコーンを機械で収穫することは、かなり難しいためです。倒伏の程度は品種によって異なることから、その対策として品種選びがとても重要となります。そこで、「耐倒伏性」に着目した品種開発を行いました。
耐倒伏性に優れる新品種「恵味スタンド88」
耐倒伏性を調べるため、地際から30㎝上部のに測定器具をあて、完全に押し倒すまでの間に得られた最大の抵抗値(以下、押し倒し抵抗値)を利用しました。
2024年度に実施した試験の結果、「恵味スタンド88」は押し倒し抵抗値の値が高く、耐倒伏性に優れることが分かりました(図2)。それに加え、1番穂のサイズにも優れていました(写真1、表1)。

慣行品種は機械収穫導入産地における作付品種を示す。比較品種は道内で作付けされる一般品種を示す。表中のアルファベットは異なる文字間に有意差があることを示す多重比較検定の結果(p>0.05)。



JA道北なよろにおける現地試作
すでに収穫機械が導入されているJA道北なよろにご協力いただき、現地試作を行ったところ(写真3)、「恵味スタンド88は根張りに優れ、稈も丈夫なので耐倒伏性に期待が持てます。

また、着穂位置が高く、本年はスムーズに機械収穫を行うことができました。収穫物は長さがあることで重量に優れ、本年は2L以上のものが70〜75%を占める結果となりました」と高い評価をいただきました。
お問い合わせは、お近くのJAを通じて園芸作物開発課までご連絡ください。また、現地での説明会も可能です。