令和6肥より販売開始!

粒状堆肥入りBB肥料 「あぐりサイクル」「みどりサイクル」

キーワード:BB肥料堆肥有機農業肥料
写真1粒状堆肥原料
写真1.粒状堆肥原料 (国産堆肥《豚、鶏、牛の糞》などを原料に粒状化したもの)
この記事は2024年8月30日に掲載された情報となります。

ホクレン 肥料農薬部 技術普及課

 

持続可能で環境にもやさしい「あぐりサイクル」と、PK減でエコな選択「みどりサイクル」を紹介します。

 

近年の国際情勢の不安定さを背景に、原料の多くを輸入に依存する我が国の肥料は、原料調達や価格高騰リスクにさらされています。また、持続可能な開発目標(SDGs)が国連で採択され、農業生産現場にも環境負荷軽減に向けた取り組みが求められています。そこで、これら課題解決に向け新たに登場した肥料を紹介します。

 

国内の有機質資源を活用した肥料を検討

国内で肥料となる主な資源には「有機質原料」がありますが、尿素などの速効性肥料に比べて、作物の生育や収量に大きな差が生じない肥効(特に窒素の溶出パターン)が求められます。

また、道内の施肥実態から機械施肥適性に優れていること、更に原料の安定調達も必要です。

これら課題を乗り越えるため、国内で排出された家畜糞尿を堆肥化し、一部化学肥料などを加えて粒状化した「特殊肥料等入り指定混合肥料」(以下、粒状堆肥原料)(写真1)を朝日アグリア株式会社で製造。

北海道内の試験場で施肥試験を実施しました(2021〜2023年度に道南・中央農試で実施)。

 

「粒状堆肥原料」の試験結果と評価

玉ねぎ、キャベツ、トマト、ほうれんそうの4作物で試験が実施され、良好な結果が得られたことから、令和5年度の北海道指導参考事項(新たな知見や技術と指導上の参考となる事項)になりました。

~北海道指導参考事項より抜粋~

「有機物由来窒素の配合割合を30~40%、うちC/N比が概ね15以下の牛・豚ふん堆肥由来窒素の配合割合を20%以下とした複合肥料は施用後、速やかに窒素を放出する」

※C/N比:炭素と窒素の含有量の比。無機態窒素放出の目安。(研究成果名:園芸作物における堆肥入り複合肥料の特性と活用法)

 

粒状堆肥入りBB肥料の誕生

 

 

試験結果を踏まえ、この「粒状堆肥原料」を一つの原料としたBB肥料「あぐりサイクル」「みどりサイクル」(ホクレン肥料株式会社製造)が誕生しました(表1)。

 

表1.あぐりサイクル、みどりサイクル 銘柄一覧
表1. あぐりサイクル、みどりサイクル 銘柄一覧(2024年6月現在のラインナップ)

 

輸入依存から国内資源への一部シフトや環境負荷軽減を目的としていますが、減耗する土壌有機物を少しでも補いたい生産者ニーズにも応えるBB肥料の新たなシリーズです。

 

現地試験で効果を確認

普及に先立ち、「施肥合理化圃場試験」で、粒状堆肥入りBB肥料の現地試験を実施しました(2022・2023年度、道内13カ所)。

多くの試験で、粒状堆肥入りBB肥料区の収量は慣行区と同等から優る傾向でした(図1)。また、初期生育においても、粒状堆肥入りBB肥料区は慣行区とおおむね同等の結果でした。

 

図1.馬鈴しょの試験における規格内収量調査結果
図1. 馬鈴しょの試験における規格内収量調査結果 (2022-2023年度施肥合理化圃場試験結果から一部抜粋。この他に水稲、大豆、人参、かぼちゃで試験を実施しています)

 

令和6肥の価格について

肥料価格が高止まりしている中、令和6肥(2024年6月〜2025年5月)については、堆肥が入っていない無機BB肥料より安価な価格となります。

 

堆肥原料も道内産を目指して

現在、「粒状堆肥原料」は朝日アグリア株式会社千葉工場近隣の堆肥を用いて製造していますが、今後、道内で排出される堆肥の活用も検討しています。

なお、原料の「粒状堆肥原料」は、製造中に加熱乾燥工程を経るので、雑草種子や病原菌の心配が無く、また、若干においが抑えられ、一般的な有機質肥料に比べハエ類の誘引性も低減される傾向にあります。

 

今後も地域の要望に応じた銘柄の設定を検討していきます。