この記事は2024年5月1日に掲載された情報となります。
訓子府実証農場 農産技術課
訓子府実証農場では、肥料価格高騰やみどりの食料システム戦略への対応策の一つとして、施肥量削減を目的とした秋播き小麦追肥での可変施肥を2018年から実施していますが、高額な施肥機の有効活用を目的に、直播てん菜と馬鈴しょの基肥における可変施肥も実施しています。
1.直播てん菜(3年目)
2021年度から、前作 秋播き小麦の衛星センシングデータを活用し、直播てん菜の基肥における可変施肥(窒素質成分のみ)を実施しています。
施肥は全層と作条を組み合わせ、窒素施肥量の7割を占める全層施肥時に可変施肥を行いました。窒素施肥量は、3カ年でいずれも削減効果が得られました。
坪掘による糖収量調査結果では、窒素施肥量を削減しながらも定量施肥と同等量を確保できました。
2.馬鈴しょ(1年目)
当農場では、秋播き小麦-直播てん菜-豆類-馬鈴しょの輪作体系を組んでおり、2023年度に初めて馬鈴しょの基肥で可変施肥を行いました。
具体的には、全層施肥体系による可変施肥に向け、前年の予備試験をもとに作条施肥量の1.2倍増肥した量を基準に全層で施肥することとし、2020年度の秋播き小麦の衛星センシングデータを活用して可変施肥を行いました。
可変施肥することで、施肥量を定量に比べ18%削減することができ、増肥したにも関わらず、作条の定量施肥と同程度の施肥量に抑えることができました。
坪掘による可変施肥の収量調査結果では、総収量は全層増肥対比で増収、作条施肥対比でほぼ同等となりました。なお、全層施肥による障害などの影響は見られませんでした。
訓子府実証農場では、今後も可変施肥の実証試験を行い、情報発信していきます。